約 45,018 件
https://w.atwiki.jp/letsrebirth/pages/205.html
「すっかり眠り込んでしまたようネ」 鈴音は寝室で眠りについている明日菜を見た。 風呂から上がった明日菜は、今後をどうするか決めることもなくそのまま寝間着に着替えて床に入ってしまった。 明日も学校だ。明日菜は学生だから早寝早起きも重要だろう。 これ以上考えたくないという逃げとも取れ得るが。 「明日菜サンが迷てても私はやれることはやておくヨ」 そう言って鈴音は軍用強化服に包まれた身体で、己の拳を開閉しながら動作チェックを済ませる。 ただ、世界樹による魔力のバックアップを受けられない今、鈴音の宝具である『航空時機』の使用はできず、 長瀬楓や桜咲刹那といった強者を手玉に取った戦法は利用できない。 そのため、現在鈴音が身につけているものはモラトリアム期間中に鈴音が開発した『航空時機』を搭載していない簡易強化服だ。 「ウム、問題ない」 拳を突き出して電撃を放てることを明日菜を起こさぬように確かめてから、 鈴音は宝具『ステルス迷彩付きコート』を羽織って部屋を出た。 そのまま玄関へ向かい、ドアを開く。 これから見回りのために外出するところだった。 強化服とコートを装備したのも敵サーヴァントに遭遇した時のための防護手段である。 「さて、行くとするカ」 彼女がフード越しに見た夜空は少し明るみを取り戻していた。 聖杯戦争の幕が開けてから初めての朝が来る兆しだ。 日付は夏至からそう遠くないからか、夜更かしが日常となっている住人は眠る前に朝を迎える。 見回りと言ってもそれほど遠方へ行くわけではない。 あくまで近くに敵がいないか確かめるだけのことだ。 鈴音はアーチャーでもなければ単独行動もできないため、あまり明日菜から離れられないことは鈴音自身も承知の上だ。 本日0時に行われたルーラーによる通達により、これからは動きをより活発にさせてくる者が多くなるだろう。 ある者は冬木を探索して地理を把握し、ある者は自身のサーヴァントや使い魔に偵察させるかもしれない。 この見回りの目的は、そういった敵を発見し、マスターやそのサーヴァントの正体を知ることにあった。 1人でも多くの敵を知っておけば初見よりも断然対応しやすくなる。 さらに、鈴音には気配遮断機能を備えたコートがある。 敵に察知されて先手を取られることはまずないだろう。 鈴音はたとえ己のマスターが覚悟できていなくとも、勝つための下準備は決して怠らなかった。 出発する前に、鈴音は片手に抱えていた彼女の発明品を起動させて飛ばした。 少しでも広範囲を調べるために鈴音が製作した無人偵察機である。 これでせいぜいB-6内でしか動けない鈴音に代わって別区画を調べることができる。 偵察機が淡い青の空の彼方へ飛び立ったことを確認して、鈴音は地を蹴った。 並々ならぬ身体能力により向かいの民家の屋根へ跳んだ鈴音は、 そのままステルス迷彩をかけて霊体化し、辺りにサーヴァントの気配がないか神経を尖らせた。 ◆ 未明、B-6区画に位置する公園内の路上。 この公園は比較的規模の大きいもので、この道を朝のジョギングの走路に使う者も少なくない。 流石に現時刻では早すぎるので、この道路を使う者はまだ誰もいない。 (…今のところ捕捉できたサーヴァントはいない) しばらくの間、鈴音はB-6内を回ってみたが、サーヴァントと思しき気配、及び魔力は感じられなかった。 鈴音はほんの少しだけ落胆しながらも、仕方ないネ、と思い直す。 そもそも今回は単に近場を見回るくらいしかしていないし、この狭いエリアに敵がやってくる可能性はむしろ低い。 鈴音が誰とも遭遇しないことは可能性として十分あり得たのだ。 また、長期間離れては消滅にもつながるし、聖杯戦争もまだ序盤だ。成果を得るまで粘る必要性は全くない。 今回は収穫なしと判断し、偵察機はちゃんとサーヴァントの姿を捉えているかを思いながら、鈴音は明日菜の家へ帰ろうと踵を返した。 が――― 「……!?」 突如、まだ薄暗い道の奥から、魔力―――サーヴァントの気配が鈴音の肌をなぞった。 それも近い。本来、鈴音はそれなりに遠くにいても相手の気配を感じることはできるのだが、ここまで寄らなければ察知できないのは予想外だ。 気配遮断を持つアサシンが来たのかと考えを巡らせながら、鈴音はステルス迷彩を維持しながら実体化し、道路の脇から相手を窺う。 幸い、向こうはこちらに気づいていないようだ。 「敵は今のところいないな」 黒い軍服を着た男が実体化し、独り言ちた。 その首には『10』の形をしたペンダントがかけられている。 「ここ一帯は全て回ったが気配はなかった」 「この区画で俺たちの他にサーヴァントはいないのかもしれん」 それに続いてさらに2人、同じ装備に同じ顔をしたサーヴァントが霊体を実体に変える。 異なっている点といえば、それぞれが『11』『12』を象ったペンダントをつけていることくらいか。 (……3人!?) 同時に3体のサーヴァントを目にした鈴音は大層驚いた。 1体いるかいないかと踏んでいたサーヴァントがまさか3体同時に現れるとは、願ってもないことだ。 だが、彼らは同じ顔であり尚且つ同じ服装をしていることが引っかかる。 基本は1人のマスターには1体のサーヴァントしかいない。 3組の主従が同盟を組んでいる可能性もあるが、この数日のモラトリアム期間だけで互いの正体を看破して協力し合うなどできるとは到底思えない。 ならば、ある程度はこのサーヴァントの正体を推測できる。 (……なるほどネ) 科学技術に精通している鈴音はすぐに合点がいった。 (これらは、所謂クローンみたいな量産型ネ) 同じ外見的特徴を持ち、複数召喚できていることから、元々は量産されていた存在だったのだろう。 首にぶら下げているペンダントも、同じ顔であることを面倒に思った彼らのマスターが個体識別のために与えたとしたら辻褄が合う。 彼らが本当に生物学的なクローンなのか、それとも絡繰茶々丸のようなロボットを量産したものなのかは鈴音の知るところではない。 だが、宝具か何かで量産されていることは確かだ。 (こんなときに明日菜サンがいればもっと詳しいこともわかるんだが…) サーヴァントはマスターとは違い、敵のステータスを見ることができない。 いずれ戦うことになる相手に出会った以上、得ることができる情報はできるだけ集めておきたいのだが、ないものをねだっても仕方がない。 一応、彼らから感じとれる魔力は通常のサーヴァントよりもかなり小さいことと、量産型という特性上、並のサーヴァントよりは弱いことはわかる。 魔力が薄いことである程度接近しないと気配を感知できないのは厄介だが。 (さて、どうしたものか…) このまま帰るか敢えて前に出て小手調べをするか。 最低限の武装をした鈴音1人に対し、弱いとはいえ詳しいステータス・スキル・宝具がわからない量産型サーヴァント3人。 後者の択を選ぶことは些か無謀―――― 「アーイ!」 鈴音が考えを巡らしていると、突如量産型のサーヴァント――エレクトロゾルダートの1人が声を上げた。 「ムッ……!」 鈴音はそれに反応して咄嗟に飛び退く。 すると先ほどまで鈴音がいた場所に高圧の電撃が紫に輝く弾となって飛来した。 それが着弾した地点には黒く焼け焦げた跡が残っていた。 「敵か!?」 「ああ……電光機関から流れた電流が1点に向かっていた。まさかとは思ったが」 電光機関。無尽蔵に電気を生み出すアガルタの超科学技術の遺産。 実体化した際に、エレクトロゾルダート10号は万が一のことを考慮して電光機関の出力を上げたことが鈴音の発見につながった。 当初はステルス迷彩による気配遮断のせいで察知することはできなかったが、 電光機関の出力を上げた際、バチリと体表面を流れるはずの電流があらぬ方向へ一直線へと流れていったのだ。 何か電流を引き寄せやすいもの…あるいは敵が潜んでいるのではないか。 そんな思考が元で、その方向へ電光弾――ブリッツクーゲルを放ったのである。 10号の予測は実際に当たっており、鈴音は電光被服と同じ電撃を放てる軍用強化服を身に着けていたため、電光機関から流れる電気を図らずも引き寄せてしまったのだ。 「考え事していたとはいえステルス迷彩を破るとは…少し侮ていたヨ」 ……これは後者の択を選ばざるを得ナイ。 そう思いながら鈴音は己の頭を覆っていたフードを外し、ゾルダート達と対峙する。 ◆ 「貴様…何者だ」 体勢を立て直して自分達の前に立つ東洋人のサーヴァントを3人の電光兵士は睨みつける。 「どうも、初めまして。キャスターデス」 平然とした様子で鈴音は両手の平を合わせ、お辞儀をした。 中国のそれとは違う、日本の様式に合わせた挨拶だ。 その顔は笑みを浮かべており、どこか相手を小馬鹿にしている印象を拭えない。 「次はそっちの番ネ。挨拶を返さないのはスゴイシツレイヨ?」 「ふざけるな!」 おちゃらけた様子を崩さない鈴音に対し、11号は怒鳴った。 自らの主君には忠実なゾルダートだが、敵や部外者に対しては高圧で攻撃的な態度を取る。 鈴音は彼らの敵意に満ちた視線に臆することはなく、飄々とした様子だ。 「郷に入ては郷に従えと言う。聖杯からそれなりの知識を与えられてるんだからお前達も従てみてはどうカ?」 「死にたいのか、野蛮な劣等種め……!」 12号が沸々と湧き上がる怒りを電光機関の出力に変え、臨戦態勢を取る。 彼らの電光機関がいつでも戦闘できることを示すように、周囲に電流が流れた。 「その野蛮な劣等種より礼儀がなってない優良種なんて冗談でも笑えないヨ?あと、これでもイギリス人の血を引いてるネ」 「フン……俺達は『レプリカ』だ」 鈴音の挑発に乗り、12号は簡単な自己紹介を済ませる。 するとその直後、3人のゾルダートが一斉に動き出した。 これ以上鈴音の茶番に付き合っていられないのだろう。 「情ケ無用ということカ」 だが、茶番としか思えない挨拶で相手のクラス名を聞けたのは自らがキャスターだと知られたことを差し引いてもなお大きい。 この同じ顔をした3人のサーヴァントの属するクラスは、レプリカ。 その名から、彼らの正体はオリジナルを複製したクローンであることがわかる。 (それにしても、『劣等種』カ…) クローンが鈴音に向かって吐いた台詞。 このクローン達は顔立ちからして西洋の白人がオリジナルだろう。 白人の使う「野蛮な劣等種」という言葉は、人種差別がまかり通っていた、第二次世界大戦終戦前の帝国主義時代を彷彿とさせる。 まるで自分達は文明の中に生きる者で優れていると根拠もなく信じているかのようだ。 戦争やそれによる憎悪の連鎖を嫌う鈴音はそれを不愉快に感じていた。 (レプリカサンにはちょっと痛い目に遭ってもらおうかネ) 鈴音も簡易強化服からいつでも電撃が出せるようにして応戦の構えを取った。 「フン!」 鈴音に肉薄した10号から、電光被服によって強化された肉体によるローリングソバットが繰り出される。 それを鈴音はバク転しながら大きく跳び退き、これを避ける。 そこに先ほど発射された電光弾が鈴音に迫っていた。10号が仕掛けると同時に11号がブリッツクーゲルを牽制射撃として発射していたのである。 「ムムッ!」 咄嗟に右へ大きくジャンプしこれを回避すると、着地点になるであろう場所に12号が待ち構えていた。 「イィーヤッ!」 12号はしてやったりと笑みを浮かべながら体をくねらせて大きく飛び上がり、側転の要領で蹴り上げて迎撃せんとする。 一般的なものとは異なる、横に回るサマーソルト――フラクトリットだ。 「何の!イヤーッ!」 「ナインッ!」 12号の表情が驚愕に変わる。 鈴音を見事撃墜するかと思われた12号の蹴りは、円弧を描くようにして振り下ろされた鈴音の脚に撃墜された。 遠心力の助力を得て繰り出された蹴りは12号の想像以上に高威力で、逆に撃墜されてそのまま地面に叩きつけられる。 本来、鈴音と電光被服で強化されたゾルダートは筋力と耐久が同等で、身体能力に関してはほぼ互角なのだが、 鈴音は簡易強化服による強化と持ち前の敏捷、そして中国拳法の技量でゾルダートに差をつけていた。 「まだ終わらぬヨ!」 鈴音が上空へ拳を突き出して電撃を打ち、下方への推進力を得てジャンプの軌道を変え、12号へ追撃を加えんと、勢いに任せて脚を振り下ろす。 「12号!」 12号の前へ10号が割り込み、鈴音の蹴りに備える。 鈴音の蹴りは引っ込むことなく10号の身体へ向かった。 しかし、12号を庇った10号に炸裂するでろう蹴りに手ごたえは感じられなかった。 それどころか10号はまったくダメージを受けていない。 鈴音の目には、10号の前に電気でできたシールドのようなものが張られているように見えた。 (…魔法障壁?) 鈴音の世界における魔法使いは魔法障壁による防御魔法を用いていたが、それをこのサーヴァントは使えるのだろうか。 ところが、ソルダート10号の張ったシールドは防御するだけのものではなかった。 「イィーヤッ!」 「くっ…!?」 蹴りをシールドで受け止めたゾルダートは鈴音の蹴りの勢いを押し返すように膝蹴りを鈴音へ喰らわせた。 膝蹴りの衝撃で少し浮いた鈴音の腹に10号の蹴りが追撃として入り、間合いを取られた。 鈴音はすぐさま受け身をとり、体勢を立て直す。 「…やるネ、レプリカサン」 攻性防禦。鈴音の知らない、ゾルダートの生きていた世界に存在した攻守一体の構え。 使い手によって細部は異なるが、敵の攻撃を受け止め、その力を逆に利用して反撃するというものだ。 ゾルダートの場合は、電光機関により電気のシールドを張り、それで攻撃を受け止めた際に発生した電気を肉体の瞬発力強化に回して反撃するという手法を取っていた。 「我等の攻性防禦の前では貴様の攻撃は効かん」 「その攻性防禦というものはなかなか使えそうだヨ。私の強化服にもその機構を取り入れてみようかネ。…次はこっちの番だヨ」 鈴音が言い終わった瞬間、10号の前に目にもとまらぬスピードで鈴音が肉薄する。 敏捷でゾルダートに数段勝っている鈴音に10号の目が追いつかず、焦りの色を顔に浮かべながら咄嗟に攻性防禦の構えをとる。 鈴音の拳が10号の目前に迫るが、シールドによってそれは受け止められた。 「効かないと言っている!」 無事、鈴音の攻撃を止めた10号はすぐに反撃を鈴音の身体に入れようとする。 それは再び鈴音の体を捉えると、10号は信じて疑わなかった。 「…それはどうかナ?」 「イィ……!?」 鈴音の拳を受け止めた10号の顔に再び焦りが出る。 しかし、その焦りを浮かべた顔は、すぐに鈴音の視界からなくなった。 鈴音の強化服による電撃を纏った、もう片方の拳が10号の身体に入り、数十メートル先に吹き飛ばされていたからだ。 この一撃は、魔法拳士として十分な技量を得たネギ・スプリングフィールドを一撃で戦闘不能にする威力を持つ。 「攻性防禦はスデに見切た。反撃される前に攻撃を加えれば全て無意味ヨ」 最初の一撃はフェイクだ。鈴音は10号に反撃を受けた際、反撃が出る前にに小さな隙が生じることを見抜いていた。 敢えて攻性防禦で受け止めさせることにより、その隙に本命の攻撃を入れることができる。 「貴様…!」 傍らで体勢を立て直した12号が憎悪の籠った目で鈴音を睨んでいた。 「フム…素早さ以外の身体能力はキャスターである生身の私と同じくらいみたいだネ。そこは量産型故の脆弱性があるといったところカ」 「アーイ!」 12号が鈴音へ出せるだけのスピードを出して突進し、膝を突きだす。 当たれば鈴音とて先ほどの10号と大差ないくらいに弾き飛ばされるほど力の籠った一撃であったが、あまりに力任せであったために避けるのが容易だ。 「これに耐えられるカ!」 鈴音はがら空きになった12号の背中に手を当て、直接電撃を流しこんだ。 一度に大量の電気が流れたからかそこから熱が上がって小さな爆発が起こり、12号は感電してビクビクと体を震わせた後、爆発に吹き飛ばされてうつ伏せに倒れた。 「これで二人…」 「アーイ!」 「あと一人いたネ」 鈴音の背後から打ち出されたブリッツクーゲルを電撃で相殺し、11号と向かい合う。 両者は互いへ同時に走り出し、11号は鈴音の顔面に向かってアッパーを、鈴音も11号の顔面へ蹴りを放ったが、手首と足首が交差して打ち合い、どちらの攻撃も相殺された。 続いて、鈴音は牽制として裏拳を11号に繰り出すが、難なくガードされ、 それのお返しとばかりに11号の右手が鈴音の鳩尾に向かうが、鈴音は素早くバックステップで回避し、間合いを取った。 しかし、11号は素早い動きで鈴音に距離を詰め、コートの襟首部分を掴まんとした。 それを鈴音はすぐに察知し、片手で払いのけ、低い姿勢から11号を蹴りで貫こうとする。 11号は咄嗟に攻性防禦により蹴りを受けとめ、反撃を食らわそうとした。 ――ここが勝負の分かれ目となった。 「言たハズヨ。見切たト」 反撃を入れようと脚を突きだした11号の胸に蹴りが入る。 1発、2発、3発、4発―――― 鈍い痛みの中、何発受けたかわからなくなった頃に鈴音の拳をモロに食らい、11号は膝を突いた。 「き、貴様…!」 中国拳法には、古菲の形意拳やネギの八極拳、魏の心意六合拳、マリリン・スーの劈掛拳などがあるが、 鈴音の使う拳法は北派少林拳。移動や跳躍や蹴りの多い中国武術の一つだ。 先ほどの攻性防禦で対応のできなかった連続蹴りは、鈴音の得意分野の一つであった。 このまま押し切れそうだったが、鈴音にはそうもいっていられない事情がある。 (魔力の消耗が早い…明日菜サンの近くにいないからカ) ゾルダート達と交戦してから、しばらく経つ。 現状は鈴音が有利だが、長期戦になると魔力の関係で不利になるであろう。 「…まだだ!」 「ぐ……!」 「殺すつもりはなかたとはいえ、まだ戦えるカ」 11号の背後へと駆けてくる10号と12号の姿が見える。 やはり、ここは退くべきであろう。 二度目になるが、成果を得るまで粘る必要性は全くないのだ。 優位性を保っている内に戦線から離脱しよう。 「残念だけど、今日はここまでネ。…また会おう、旧世界の人類…旧人類ヨ」 鈴音はフードを再び被り、ゾルダート達の肩が揺れている間に霊体化してこの場を去った。 「待て!」 「いや、ここは俺たちも引くべきだ!魔力が持たん」 追おうとする10号に対し、12号が制する。 単独行動をしており、電光機関は魔力を電力に変換するという性質上、鈴音との交戦でゾルダートが消費した魔力は決して少なくない。 さらに鈴音はステルス迷彩をかけたのか、先ほどまで感じていた気配が消えている。 「ミサカの所へ戻るぞ。ここであったことを報告せねば」 11号が言ったことに2人は頷き、ゾルダート達も己のマスターの元へ引き返すのであった。 【B―6/大きな公園/1日目・深夜】 【キャスター(超鈴音)@魔法先生ネギま!】 [状態]霊体、ダメージ(小)、魔力消費(大) [装備]簡易軍用強化服、ステルス迷彩付きコート [道具]今は外出中だから特にないヨ [思考・状況] 基本行動方針:願いを叶える 1.明日菜が優勝への決意を固めるまで、とりあえず待つ 2.それまでは防衛が中心になるが、出来ることは何でもしておく 3.明日菜の元へ戻る 4.強化服にレプリカの使う攻性防禦と同じ機能を搭載してみるのもいいかもしれない 5.帝国主義は不愉快 [備考] ある程度の金を元の世界で稼いでいたこともあり、1日目が始まるまでは主に超が稼いでいました 無人偵察機を飛ばしています。どこへ向かったかは後続の方にお任せします レプリカ(エレクトロゾルダート)と交戦、その正体と実力、攻性防禦の仕組みをある程度理解しています 【レプリカ(エレクトロゾルダート)@アカツキ電光戦記】 [状態](10号~12号)、ダメージ(中)、魔力消費(大)、無我、スリーマンセル、単独行動 [装備]電光被服 [道具]電光機関、数字のペンダント [思考・状況] 基本行動方針:ミサカに一万年の栄光を! 1.ミサカに従う 2.ミサカの元へ帰還する 3.キャスター(超鈴音)のことをミサカに報告する [備考] キャスター(超鈴音)と交戦しました BACK NEXT 011 漆黒のジャジメント-what a noble dream- 投下順 013 白銀の凶鳥、飛翔せり 009 灰色の夢 時系列順 015 Fake/この手が掴んだものは BACK 登場キャラ NEXT 001 プラスチックのようなこの世界を キャスター(超鈴音) 026 夢現ガランドウ 002 開戰 レプリカ(エレクトロゾルダート) 015 Fake/この手が掴んだものは
https://w.atwiki.jp/sengoku4/pages/310.html
武将名 新武将男 新武将女 真田幸村 これも定めなれば…真剣勝負を所望いたす! 武士として…一歩も譲れませぬ…! 前田慶次 楽しみにしてたぜ…さあ、死合おうか! あんたと死合えるたあ、嬉しいねえ! 織田信長 うぬか…是非もなし 信長の生を奪う…それがうぬの愛か? 明智光秀 斬らねばならないとは…残念です あなたとは、戦いたくなかった…! 石川五右衛門 てめえ殴れっかよ…いた! てっめえ! 可愛い! もう殴られても…よくねえか 上杉謙信 心に勇みあるとき、悔やむことなし 心に曇りなきとき、心静かなり… お市 どうして…戦わなければいけないの… 退いてください…あなたを討ちたくない… 阿国 うちが勝ったら、出雲に連れて往にますえ? やぁ、うちらの戦舞で華が咲きますえ? くのいち 君が相手かあ、やりにくいにゃあ 元気? 嫌なとこで会っちったねえ… 雑賀孫市 昨日のダチは今日の敵ってか… 最悪だ…せめて俺の手で逝かせてやる 武田信玄 王道成さば、こんな悲しみも消えようて やれやれ、やりにくいことよ… 伊達政宗 情けよ! すぐに楽にしてやるわ! わしは貴様のことが…いや戯言は無用よ 濃姫 私が欲しくなったの? 困った子ね 半端は嫌いよ…徹底的に、やりましょう? 服部半蔵 これも影の宿命…来い 影の定めを…今は呪う 森蘭丸 相手があなたでも…手加減はできません わかっています…戦いは避けられぬ運命… 豊臣秀吉 気にすんな! これがお前の道じゃろ? すまん! これも夢のためなんさ… 今川義元 まろを…まろを越えてゆくの! 相打たねばならぬか…これも定めかの? 本多忠勝 言葉は無用…ただ武で語れい! 拙者を阻むなら、そなたとて容赦せぬ 稲姫 遠慮は要りません! 正々堂々勝負です! ごめんなさい…戦わねばならないなんて 徳川家康 泰平の世のため、容赦は…できぬ! 泰平の空の下、共に歩みたかったが… 石田三成 この展開は、読めなかったぞ… どうあっても避けられないのか? 浅井長政 そなたとならわかり合えると思っていたが… そなたの思い、受け止めてみせる! 島左近 あんたが相手とは、運命の皮肉ってやつだ 戦いたくなかったが、仕方ないかね 島津義弘 これだからバクチはやめられぬ 対峙した顔もなかなか魅せる 立花誾千代 来い、手加減すれば許さぬ! 謝りはせぬ…貴様に剣を向けることを 直江兼続 退いてくれ! 義の同志とは戦いたくない! 義を愛する者同士が…!間違っている! ねね 男の子だね。おいで、受け止めたげる! 反抗期だなんて…悲しいよ 風魔小太郎 この因縁もまた、混沌よ… 悲しいか?我は愉しい 宮本武蔵 お前と戦わなくっちゃいけねえのかよ! 剣に情はねえとか…嘘だ! 前田利家 人情よりも…義理が重てえんだよ! 何で俺の前に出てきやがった… 長宗我部元親 ためらうな…俺を越えていけ 立ち止まるな…道は俺の後ろに続いている ガラシャ 乱世とは意地が悪うて、酷なのじゃ… 教えよ…そちと戦わねば、ならぬのか…? 佐々木小次郎 斬りたいけど…斬ったら君はいなくなる… 好きな人を斬るってこんな気持ちなんだ… 柴田勝家 遠慮は要らぬ、黙して戦えい! 見事、柴田を射ってみせい! 加藤清正 お互い手加減なしだ、そうだろ? 馬鹿…敵に回ってどうすんだよ 黒田官兵衛 私が望むのは泰平…卿との友情ではないのでな 禍根は残せぬ…私を許す必要はない 立花宗茂 お前が決めた運命だ。もう終わりでもな 笑って。悲しい顔は似合わない…お互い 甲斐姫 乙女に、ちょい好きな男子と戦わせんな! 手を抜いたら、承知しないから… 北条氏康 元気だったか? あいにく俺も元気だぜ 悪いな。かみさん以外の女には遠慮なしだ 竹中半兵衛 やりにくいなぁ、君が相手だなんて… 君とだけは戦いたくなかったな… 毛利元就 君と戦うことになるとは…残念だよ ある意味、君の戦を見る特等席なんだけどね 綾御前 せめて綾の手で討ちます。それも愛… 厳しさも愛、わかってくださいますか? 福島正則 ガチのゲンコで深まる友情! あり! マジねーわ、お前と戦うとかよ… 藤堂高虎 違えた道…このように交わるとは… すまんな、優しいあんたを苦しめてしまって 井伊直虎 嘘ですよね…あなたが敵だなんて… 思いっきり討たれちゃうんですか、あなたに 柳生宗矩 お宅のこと、買ってるだけにつらいねェ お嬢ちゃんのこと、好きなんだけどねェ 真田信之 まさかお前と戦うことになろうとは… あなたを花と散らせる覚悟は…できている 大谷吉継 俺もお前も運命に流されることしかできん 俺はこの運命に抗いたかった… 松永久秀 仲よし同士果し合う…実につまらん運命! これほどお主が好きなわしを討つのか~ 片倉小十郎 ご無礼ながら…手加減はいたしかねます 敵として対しても…お綺麗です、お嬢様 上杉景勝 …戦わねばならぬというのか …心が、苦しい 小早川隆景 すみません…戦う前に謝っておきますね 敵を知れば…知るほどやりにくいですね 小少将 敵対するんだ…あたしをどうしたいの? あたしとやっちゃう? やっちゃうんだ… 島津豊久 お前が相手か…いい勝負になりそうだな! お前より強くなってみせる! 早川殿 戦いたくないのに…どうしよう、お母様… できれば、戦いたくなかった…
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/840.html
その日のハルヒは、どこかおかしい素振りを見せていた。 そう言うと誤解を与えそうだから、ひとつだけフォローを入れておこう。いつものハル ヒは傍若無人で1人勝手に突っ走り、厄介事をSOS団に持ち込んでオレを含める団員全 員が苦労する──そういうことを、オレは普通だと思っている。この認識に異論があるヤ ツは前に出ろ。オレの代わりにハルヒの面倒を見る役割を与えてやる。 それはともかくとして。 その日のハルヒは……世間一般の女子高生らしい素振りを見せていた。 例えば、休み時間にクラスの女子たちと普通に話をしていたり、あるいはまじめに授業 を受けていたり、さらには放課後にこんなことを言ってきた。 「ねぇ、キョン。今日の放課後、時間空いてる?」 事もあろうに、あの涼宮ハルヒがオレに都合を聞いてきたのだ。 おいおい、なんだよそれは? まさに青天の霹靂ってやつじゃないか。おまえにそんな 態度を取られると、オレはどうすればいいか分からんぞ。 「ねぇ、どうなのよ?」 「あ、ああ、そうだな……それは部活が終わった後ってことか?」 「あ、そっか。うーん……そうね、大切な活動を中止するわけにもいかないか。終わって からにしましょ。忘れたら罰金よ!」 おいおい、オレはただ「いつの放課後だ」と聞いただけなのに、いつの間におまえに付 き合って時間を潰すことになっちまってるんだ? けどまぁ、そういうのがハルヒらしいってことだろう。そんな長時間でなけりゃ付き合 ってやっても罰は当たらないさ。 それにしても……あのハルヒがしっかりアポイントを取ってまで、いったい何を企んで いるのかね。オレは何かやらかしたかな? 思いつくことは何もないが……いやいや、も しかすると相談事とか? それこそありえないだろ。 それなら……と、あれやこれを考えつつ古泉とゲームに興じていると、長門がパタリと 本を閉じた。運命の時間になってしまった、というわけだ。 「それじゃキョン、下駄箱で待ってなさい」 団長さま直々のお達しにより、オレは下駄箱で待つこととなった。古泉に「おや、デー トですか?」などと聞かれたが、軽やかにスルーしておいたのは言うまでもない。 しばらく下駄箱前でボーッとしていると、ハルヒがやってきた。 ここで「待った~♪」などと言ってくれば「おまえは誰だ?」と言い放てるのだが、そ んなこともなく、代わりに口を開いて出てきた言葉は「ぼさっとしてないで、さっさと行 きましょ」とのこと。やはりコイツはオレの知っているハルヒで間違いない。 「んで? オレの貴重な青春時代の1ページを割いてまで、いったい何の用だ?」 北高名物のハイキングコースを並んで歩きながら、オレの方から話を振ってみた。 「……あんたさ、中1の夏、何してたか覚えてる?」 ややためらいがちに、ハルヒが口を開いた。 「なんの話だ?」 「いいから! 覚えてるのかって聞いてるの」 わざわざオレを呼び出して、意味不明なことを聞いてくる。そんな昔の話なんぞ、覚え ているわけがない。 おれが正直にそういうと、ハルヒは眉根にしわを寄せた。 「そうじゃなくて……ああ、もう! 中1の七夕の日、あんた何やってたの?」 この瞬間湯沸かし器みたいにキレる性格はどうにかならんもんか? それはそうと、中1の七夕だって? 我が家では七夕に笹を出して織姫と彦星の再開を 祝う習慣はないから、いつもと変わらない一日だった……というか、待て待て。なんでそ んな話題を振ってくるんだ? オレはともかく、ハルヒにとっての中1の七夕と言えば……校庭ラクガキ事件の日じゃ ないか。そのことは新聞にも取りざたされた話だから、知っているヤツは多い。けれど、 ハルヒ自身の口からそのことを言い出すのは皆無だ。 「中1の七夕なんて、いつもと変わらない1日に決まってるだろ。そういうおまえは、校 庭にはた迷惑なラクガキしてたんだっけ?」 その詳細を知ってはいるが言うわけにもいかない。誰でも知ってるような話で切り返し たが、ハルヒは不意に立ち止まり、じーっとオレの顔を睨んでいる。 「なんだよ?」 「あんたさ、好きな子とかいる?」 …………おまえは何を言ってるんだ? 「いいから、いるのかいないのかハッキリしなさいよ!」 なんでそんな怒り口調で問いつめられなければいけないんだよ? とも思ったが、ここ でこっちもテンションを上げるのは、ハルヒの術中にハマりそうでダメだ。オレが冷静に ならなきゃ、会話が成り立たなくなる。 「なんで中1の七夕の話から、そんな話になるんだ? そもそも、どうしてそんなことを おまえに言わなくちゃならないんだ」 「それは……」 なんなんだこれは? なんでそこで口ごもるんだ。タチの悪いイタズラかと思えるよう な展開じゃないか。今のハルヒは、そうだな……まるで告白前に戸惑う女の子みたいに見 える。いや、オレにそんな状況と遭遇した経験なんぞないが、ドラマでよくある展開だ。これ でハルヒがオレに告白でもしようものなら、明日には世界が滅亡するぜ。 「…………」 「…………」 ハルヒが黙り、オレも黙る。なんともいたたまれない沈黙に包まれて、かと言ってオレ から話しかける言葉も見つからずにいると。 「もういい」 ふいっと背を向けて、1人早足で坂道を降りていく。その背中には妙な殺気が籠もって いて、とても並んで歩く気にはなれず、ただ後ろ姿を見えなくなるまで見送った。 そんなことがあった前日、どうせ今日には元に戻ってるだろうと登校してみれば、ハル ヒは学校に現れなかった。 あいつが休むとは珍しい。これは別の王道パターン──ハルヒが海外に引っ越す──か と思ったが、朝のホームルームで担任の岡部からそういう話はなかった。むしろ、「涼宮 は休みか?」などと言っていたから、病欠ってわけでもないようだ。純然たるサボリって ことなんだが……そうだな、おかしな事態だ。 あいつは授業中こそつまらなさそうにしているが、無断でサボるようなヤツじゃない。 異常事態だってことさ。 1限目が終わり、オレはすぐに9組の古泉のところへ向かった。ハルヒの精神分析専門 家を自称するアイツなら、何かわかるかもしれん。 「え、登校していないのですか?」 と思ったが、古泉も寝耳に水の話らしい。 「昨日から様子がおかしくてな。それで今日は不登校だろ? 何かあったのかと思ったん だが……おまえの様子を見るに、閉鎖空間もできちゃいないようだな」 「そうですね。ここ最近、僕のアルバイトも別方向の役目が多くて……おっと、これはあ なたには関係ない話ですが。ともかく、今の涼宮さんは安定しているようです」 おまえのアルバイトでの役目なんぞどーでもいいが、その話でハルヒがストレス貯めて たり、妙なことを企んでる訳じゃないことは把握した。 しかし、まったく何もないわけじゃないだろう。 これまでの出来事を思い返し……あんな物憂げなハルヒを見たことは、2回ほどある。 七夕とバレンタイン。 あのときの様子とよく似ている。かといって、今はバレンタインって時期じゃない。も ちろん七夕って日でもないが……しかし、あいつの方から七夕の話題を出したってことは、 思い出さざるを得ないことがあった、ってことだろう。 ジョン・スミスの名前を。 時間的には昼休みか。そろそろ電話をしてもいい頃合いだろうと考え、ハルヒの携帯に 電話をかけてみた。 2~3回ほど留守電サービスに繋がったが、その後にようやく繋がった。携帯からじゃ なくて公衆電話からだからか、警戒したようだ。そりゃオレも見知らぬ番号や携帯からか かってきた電話には出ないがね。 『あんた誰?』 電話応対の定型文を使うようなヤツじゃないが、そういう態度はどうかと思うぞ。 「オレだ」 『あたしに「オレ」って名前の知り合いいないんだけど? つーか、さっきからしつこい し。その声、もしかしてキョン? だったらふざけた真似はやめなさいよ』 「いや……ジョン・スミスだ」 『…………え?』 この名前を口にするのも久しぶりだ。できることなら名乗りたくもなかったが、事情が 事情だしな、仕方がない。対するハルヒも、オレが何を言ってるのか理解できていないよ うだった。それも仕方がない。 「なんつーか……久しぶりだな」 我ながらマヌケな言葉とつくづく思う。毎日その顔を見ておいて「久しぶり」もなにも あったもんじゃない。 『あんた……ホントに、ジョン・スミス? じゃあ、やっぱりあの手紙もあんただったの?』 それがハルヒの物憂げな気分の正体か。 その手紙になんて書かれていたか聞き出すのは難しそうだが、わざわざ「ジョン・スミ ス」の名前を語っているということは、タチの悪いイタズラで済まされる話じゃない。 「その手紙になんて書いてあったかは知らないが、オレが出したものじゃないことは確か だな。今日、学校を休んでいるのもその手紙のせいか?」 『そうだけど……ちょっと待って。ジョン、なんであたしが学校休んでるの知ってるの?』 しまった、余計なことを口走っちまった……。 『あんた、今学校にいるのね? そうなんでしょ! 今から行くからそこにいなさいよ、 逃げたら死刑だからね!』 言うだけ言って切っちまいやがった。やれやれ、これもまた規定事項ってヤツか? だ としたら……そうだな、ここで頼るべきは長門か。はぁ……まいったね。 5限目の終了を告げる鐘の音とともに、教室のドアがぶっ壊れるほどの勢いで開かれた。 そこに、鬼のような形相でハルヒが立っている。 ハルヒは呆気に取られているクラスメイトと教師を一瞥し、ずかずかと教室の中に入り 込んできたかと思えば、オレのネクタイをひねり上げてきた。 「着いてきなさい」 声が低く落ち着いているだけに、逆に怖い。 ずるずる引きずられて教室から出て行くオレを、哀れな生け贄を見るような目で見つめ るクラスメイトの視線が痛かったのは言うまでもなく、教師すら見て見ぬふりをするとは どういう了見だ? 教育委員会に訴えてやろうか。 「協力しなさい」 屋上へ出る扉の前。常時施錠されていてほとんど誰も来ないこの場所で、既視感を覚え るような事を言われた。前と違うのは、今回はカツアゲどころか命を取られそうな殺気が 籠もっているというところだろうか。 「いきなり学校にやってきたと思えば、何に協力しろって?」 「校内に、あたしらより3~6歳年上の見慣れない男が一人、うろついてるはずよ。そい つを見つけて確保した上で、あたしの前に連行してきなさい」 なんつーことを言い出すんだ、おまえは? そもそも校内に見慣れない男がうろちょろ してたら、誰かがすでに気づいてるだろうが。 「あんた、校内にいる教師の顔、全員覚えてる? 一人くらい見慣れないヤツがいたって、 それらしい格好してれば紛れ込めるわ」 まぁ……言われて見ればそうかもしれないな。部室にあった、過去の卒業アルバムに載 っていた教員一覧は4ページに渡っていたわけだし。 「いい? 時間はないの。怪しいヤツを見かけたら、拉致って即座に連絡すること。次の 授業なんかほっときなさい。それと、このことはSOS団全員に通達することも忘れない ように! ところで……あんた、携帯忘れてないわよね?」 「それは持ってるが……」 「ちょっと貸しなさい」 言うが早いか、ハルヒはいきなりオレの上着の内ポケットに手を突っ込むと、携帯電話 を強奪しやがった。どうしてオレはキーロックをかかけてないんだ、と最初に思った時点 で何か間違ってる気がするのは、この際ほっとこう。 「……あんた、昼にあたしに電話した?」 我が物のようにオレの携帯をいじるハルヒは、どうやら着信履歴を真っ先にチェックし たらしい。こいつの旦那になるヤツはあれだ、履歴チェックは欠かさないようにすること を忠告しよう。 オレはどうだって? オレの場合、見られて困る相手に電話をしてるわけじゃないから、 別に気にしないさ。 「かけたよ。おまえが学校に来ないのが気になったんだ。通じなかったが」 「ふーん、そっか」 正直に話すと、それで興味を無くしたのかハルヒは携帯を投げ返し、そのまま猛烈な勢 いで階段を駆け下りて行った。オレはいつぞやのように一人、取り残されたってわけだ。 どうやらあの様子から察するに、あいつの頭の中では校内にジョン・スミスがいるっ てことになってるんだろう。 それはあながち間違いではないが……捜す対象がオレらより3~6歳ほど年上の男とな ると、まず見つかるわけがない。それは言うまでもなく、オレがジョン・スミスだからだ。 そりゃまぁ、あいつが中1の七夕のとき、オレは北高の制服を着ていたし、事実高1だ った。学年まで気づかなかったとして、制服を着ていることから3~6歳ほど年上と思う のも仕方がないことだろう。 しかしなぁ、かくいう張本人を目の前にして、そいつを捜せと言われても困るんだがな ぁ……。捜す振りをして、ひとまず残りのメンツに話だけを通しておけばいいだろう。 そんなことを考えていたら、突然オレの携帯が鳴り出した。 ディスプレイを見れば、 番号非通知。 嫌な予感がくっきり色濃く脳裏を過ぎった。どんな色かと問われれば、黒というか闇色 というか、そんな感じだ。 「……もしもし?」 『午後3時、旧館屋上に』 「は?」 通話できたのは、たった一言。無味乾燥な物言いは、どこかで聞いたことのある声だっ た。けれど、記憶にあるその声とは何かが違う。 どうやら、オレが思っている以上に厄介なことが起きてる。そんな予感を感じさせるに は十分な通話内容だ。 「なにがどうなってるのかサッパリだが……」 宇宙的、あるいは未来的、もしくは超能力的な厄介事に巻き込まれているのは間違いな い。これがせめて、異世界的な異変でないことだけを心から願いたいが……何であれ、そ れでもオレを巻き込むのは勘弁してもらいたいね。 困った事態というのは、ひとつ起こればドミノ倒しの要領で立て続けに起こるもんだ。 オレはそのことを、涼宮ハルヒという人間災害から骨の髄まで染み込むほどに学んだ。 それが今、まさに、この瞬間、立て続けに起こっているわけだ。 ひとまず古泉には事情を説明して『機関』の人員の手配を頼んでおいた。長門にも協力 要請を出しておいた。朝比奈さんは、申し訳ないが最初から巻き込んでいる。 SOS団的に言えば、盤石のフォーメーションで挑んでいると言っても過言ではない。 にもかかわらず、オレが危惧しているのは、オレ自身が上手く立ち回れるかどうかについてだ。 まいったね。「やるかやらないかより、出来るか出来ないかが問題だ」なんて格言があ るのかどうかは知らないが、ここで本音を語ろう。声を大にしてだ。 出来ません。無理です。勘弁してください。 「フォローはする」 心強いコメントだが、どこか投げやりなのは気のせいか? 「そもそも、本来の場所はここじゃなかったよな。公園だっけ?」 「些細なこと。重要なのは事実が現実になるかどうか。情報操作は得意」 そういうもんなのかね。やっちまった……と思って、けっこうへこんでるんだが……。 「それならそれで長門よ、前にも言ったが……もうちょっとマシな形にはできなかったの か? かなり抵抗があるんだが……」 オレは手の中に収まっている黒光りする鉄の塊を、腫れ物にでも触るような手つきで持 て余していた。 「その形状がもっとも効率的。あなたが無理ならわたしがする」 「……すまん、さすがにオレには無理だ」 「そう」 オレは手の中のもの──拳銃を長門に手渡した。自分がやるべきなのだろうが、いくら なんでもこんなものをハルヒに向けて、狙い通りに撃ち抜くなんて、そこまでオレは淡々 と物事を冷静に運ぶことはできない。 「そろそろ時間」 ふいっと視線をはずし、長門は目の前の扉に目を向ける。オレは時計を見る。朝比奈さ んを見習って、電波時計にしているから狂いはない。 時間は午後3時になる5分前。各教室では本日最後の授業が行われている真っ最中だ。 普通なら、歩き回っている生徒なんているはずもない時間だが……目の前の扉が、もの凄 い勢いで開いた。 「見つけたわ!」 ドカン! と音を立てて、旧館屋上の扉が開かれた。 そこに立っているのは、言うまでもなくハルヒ。その形相は、親の敵を見つけた仇敵と 相対する西部劇のガンマンみたいな顔つきだ。 「あなたがジョン・スミスね! ふざけた名前で捜すのに苦労したわ。よくもまぁ、あた しが中1のころから今の今まで、逃げおおせたものね!」 「落ち着けよ。積もる話もあるだろうが、そういう場合じゃないんだ」 「どんな場合だっていうのよ! あたしはずっとあんたを捜してたわ。そのために北高に も来たし、SOS団まで作ったのに……あんたはずっと雲隠れしてて! どれもこれも全 部あんたを捜すために、」 「おいおい、そうじゃないだろ」 ハルヒの言葉を遮って、オレは言うべきことを口にする。 SOS団、つまり『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団』っ名称は、そりゃ 確かに七夕のときのオレの一声をもじって付けたものかもしれない。そこにどんな思いが 込められていたのかなんて、オレにはとっくに分かっている。 だが、それはあくまでも切っ掛けにすぎない。今ここにいるハルヒがやってることは、 何もジョン・スミスに会うためだけにやっていることではないはずだ。 「今、おまえはけっこう楽しんでるだろ? オレと会うことでほかのすべてを捨ててもい いとは思ってないはずだ。目的と手段が入れ替わってることに、そろそろ気づいてもいい んじゃないのか?」 「何よそれ!? あたしは……」 「言いたいことは分かってるさ。ああ、悪いな」 オレはちらりと時計を見る。そろそろ午後3時。時間だ。 「話は、ここまでだ」 オレの言葉に合わせるように、長門は迷いなく銃口をハルヒに向けて、その引き金を引 いた。 パシュン、と軽い音が響く。その音に胸騒ぎを覚えたオレは、階段を出来る限りの速さ で駆け上った。 そこで目にしたのは、倒れているハルヒと、スーツに身を包んだ一組の男女。その二人 が何者かと考えるよりも先に、オレはハルヒに駆け寄っていた。 正直、血の気が引いた。直後によく動けたものだと、あとになって自分自身に感心したほどだ。 「ハルヒ! おい、しっかりしろ!」 見た限り、ハルヒに外傷はない。ただ、いくら呼びかけても返事はなく、その姿はまる で眠っているように見えた。 「眠らせただけ。それより、動かないで」 まるでどこぞの社長秘書のような出で立ちで、ご丁寧に怪しさ倍増のサングラスまでか けたその女性が、膝を折ってオレを見る。……あれ、この顔はどこかで見たことが……と、 考えるよりも先に、それは起こった。 大袈裟な変化があったわけではない。ただ、オレが駆け込んできた屋上へ通じる出入り 口がなくなっている。場所こそ旧館の屋上ということに変わりはないが、目の前にはどこ にでもいそうな大学生、あるいは社会人的な年代の男女数名が現れていた。 いったい何時の間に、どこからやってきたのかさえオレにはわからない。というか、そ もそも今がどういう状況なのかもわからない。 「悪いが見ての通りだ。ここでドンパチやるのは構わないが……」 ダークスーツに、こちらもサングラスをかけている男が、目の前の相手を前に口を開き、 彼方の方向を指さした。 「鷹の目がここを狙っている」 その瞬間、男と数名の男女のグループの間の地面が、パキン、と爆ぜる。まさか……と は思うが、もしかして今、どこぞから狙撃でもされてるんじゃないだろうな? 仮にそう だとしても、ここから狙い撃てる場所なんて、裏山の傾斜くらいだ。1キロくらい離れて るんじゃないのか? 「さらにここには、なが……こいつもいる。ジョン・スミスの名前を使ってハルヒを引っ 張り出すのは悪い考えじゃないが、できれば二度と使わないでもらいたいね」 男とその敵対グループらしい連中とのにらみ合いがしばし続き──誰と言うわけでもな く舌打ちを漏らすと、連中は次々に屋上の柵を乗り越えて飛び降りていった。 「時空間転移を確認。この時空間からの消失を確認した」 「はぁ……やれやれ。もう二度とこんなことをさせないでくれよ……」 深いため息をついて、男は腰が抜けたようにしゃがみ込む。この二人は……まさかとは 思うが……けれど、そんなバカな話があってたまるか。 「みなさん、大丈夫ですかぁ~?」 がちゃりと音を立てて、いつの間にか下に戻っていた屋上のドアが開かれる。そこに現 れた人影を見て、オレの疑念は確信に変わった。 現れたその人は、オレが何度も会ってる朝比奈さん(大)だった。ここでこんな登場を するということは、規定事項ってことなんだ。それはつまり、目の前の2人はオレが思っ ている通りでいいってことですね? 「ああ……いや、深くは聞かないでくれ。オレのこともだいたい分かってると思うが…… そうだな、古泉が所属する『機関』の上の人間と思ってくれ」 「ちょっ、ちょっと待ってくれ。なんだって!?」 「時間を自由に行き来できるなら、未来が過去において自由に動けるその時間帯での組織 を作っていてもおかしくないだろ。そうでもしなきゃ、ハルヒは守れないんだ」 「ハルヒを……守る?」 「ちょっとキョンくん、喋りす……あ」 朝比奈さん(大)は黒スーツの男に向かってそう言った。「あ」って、迂闊すぎます… …が、今は有り難いね。それで確信が持てた。 やっぱり、この二人は……未来のオレと長門なのか!? 「そいつは禁則事項ってヤツだ。ただ、今回のことでわかったと思うが……まだまだハル ヒ絡みの厄介事は続くってわけさ。同情するぜ」 いやもう、頭が混乱してきたぞ。何がどうなってるのかしっかり説明してくれ。 「それは追々分かるだろ。ハルヒはもうちょっと寝てるだろうから、しっかり介抱してく れ。目が覚めたら今回の出来事は忘れてるはず……だよな?」 未来のオレが隣の……たぶん、未来の長門に確認を取ると、微かに頷いた。 「ああ、あと古泉経由で新川さんにも礼を言っといてくれ。さっきの狙撃はなかなかのも んだったしな。んじゃま、10年後に会おう」 その後のことを少しだけ語ろう。 屋上からの出入り口から出て行った3人の後を追うように、すぐに後を追ったが姿はなく ……長門(大)に眠らされていたハルヒを保健室に運んだオレは、未来からやってきて いたオレたちについて憶測を巡らせた。 今回の出来事は、直接的には今のオレやハルヒに関係のない事件かもしれない。むしろ 未来のオレらに関わる事件が、たまたまこの時間軸に関わりがあったにすぎず、その騒動 に巻き込まれただけのような気もする。 この時間軸で事の詳細を正確に理解しているのは長門だけだろうが、親切に話してくれ なさそうだ。何しろ、オレの未来に直接的に関わってくる話だしな。 未来のオレは「古泉が所属する『機関』の上の人間」だと言った。つまり、オレは将来 的には古泉と同じ『機関』の、それもトップクラスの立場になるかもしれない。下手をす ると、『機関』の現時点でのトップは未来のオレ……なんてことも、あの口ぶりでは十分 にあり得そうだ。もしそうだとしたら、悪いが全力でそんな未来を変えようと足掻くだろう。 しかし未来のオレは、その現実を受け入れていた。そう決断しなければならない出来事 が、今後起こり得るかもしれないが……そんなことは考えたくもない。 「……うん」 「よう、お目覚めか」 「あれ……キョン? あれ……あっ!」 寝起きとは思えない勢いでハルヒは保健室のベッドから飛び起きた。こいつは低血圧と は無縁なんだろうな。 「ちょっとキョン、あの男はどこ行ったのよ!」 オレの首を締め上げて、もの凄い勢いでまくし立てている。おいおい長門(大)よ、今 回の騒動のことをハルヒは忘れてるんじゃないのか? どう見てもしっかりばっちり完 璧に覚えているじゃないか。 「あ、あの男って誰のことだ!?」 「誰って、そりゃ……あれ? えーっと……」 続く言葉が出てこないのか、ハルヒは肝心なところは覚えていないらしい……というか、 ジョン・スミスについて何も覚えてないんじゃないのか? 「なぁ、ハルヒ。真面目に聞くから正直に答えて欲しいんだが」 いまだにオレの首を握りしめている──といっても力はまったく込められていなかった が──ハルヒの手を取り、オレは肝心なことを尋ねようと思った。 それがたとえ、オレの思ってる通りでも違ったとしても、オレとハルヒの今の関係が崩 れる類のものではない。ただ、オレの決心が鈍るかもしれない質問だ。 「おまえ、SOS団を何のために作った?」 「はぁ? あんた何言ってるの。最初に言ったでしょ。もう一回聞きたいの?」 「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことか? 本当にそれだけか?」 当初ならそのセリフで納得も……できやしないが、まぁ、ハルヒならありえそうだなと 思って追求しなかったさ。 しかし、今日この日に至るまで経験したさまざまなことを鑑みて、ハルヒがただその理 由のためだけにSOS団なんて作り出したとは、オレには到底思えない。SOS団の名称に したってそうさ。 ハルヒはただ、ジョン・スミスとの再会を願ってこの名前を付けたんじゃないのか? だからもし、ハルヒがジョン・スミスがオレと知ってしまえば……SOS団はその役目 を終える。それが怖かった。もしそうなら、オレはこいつに「自分がジョン・スミスだ」 などとはとても言えやしない。 「……あんたが何を考えてるか、だいたい分かってるわ」 キュッとオレの手を握り替えし、ハルヒがオレの予想とは違うことを言った。 「最近、みんなと一緒に遊ぶことが楽しくて、本来の結成目的がおざなりになって不安に なってるんでしょ? でも安心しなさい。あたしはまだ、当初の目的を忘れていなんかい ないわ! いつか、必ず、絶対に宇宙人や未来人や超能力者を見つけてやるんだから!」 「本当に……そうなのか?」 「はぁ? 当たり前でしょ!」 語気を強めるハルヒだが、オレはまだ納得できない。 「しかしだな、SOS団の名称が……なんつーか……センスないなと思って」 「うっさいわね! 昔、変なヤツが言った言葉を借りて命名したのよ。あたしのセンスじ ゃないわ」 「そいつを捜すために、名前を借りたのか? つまり、SOS団ってのは……」 「うーん、そりゃ捜したい気持ちはあるし、ちょっとは気になってるけど……ほら、昨日 あんたに中1の七夕のときのこと聞いたでしょ? そのときに会ったヤツが言ってたセリ フでさ。そいつ、なんかあんたに……そうね、ちょっと似てたかも。だからもしかして、 あんたじゃないかって考えたこともあったわ。なんでそんなこと考えたのかしらね? あ り得ないのに」 あり得ないと思ってくれるのは有り難いが、事実その通りで、こいつの勘の鋭さにはと にかく呆れるね。 「でも、それはあくまでも切っ掛け! そもそも、その男は自分は自分で楽しいことして るに決まってるわ。あたしも負けてられないから、名前を借りたのよ! いつかあたしの 前にふらっと現れたときに言『あんたより、あたしのほうが楽しいことしてる』って言っ てやるためにね!」 ああ……どうやらオレは、未来の自分と会って少し混乱していたらしい。よく考えれば、 疑う余地なんでまるでないじゃないか。 ハルヒはSOS団結成の理由を「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこ と」としているが、実際はそうじゃない。 かといって、オレが邪推したように、ジョン・スミスを捜し出すためでもない。 そりゃ、その両方もまったくのウソというわけではなく、心の片隅にちょっとはあった のだろう。だが、ハルヒの心を占めているのは、普通の高校生らしい、ただ純粋に「今の この瞬間を思いっきり楽しみたい」って気持ちだけなんだ。 ハルヒにちょっと桁外れのトンデモパワーがあって周りは騒いでいるが、本人は青春を 謳歌したいだけなんだ。それならオレは、ハルヒ的青春の謳歌に付き合ってやるさ。今ま で散々、周囲に迷惑をかけて面倒を巻き起こしてきた過去に比べれば、どれほどまともで 健全なことか。 それを未来的な策謀や、宇宙人的な思惑や、秘密結社らしい陰謀で潰すのはあまりにも 身勝手な話だ。だからオレは……そうか、だからなのか。未来のオレは、10年経ったそ のときでも、SOS団のメンバーと一緒にハルヒを守ってるわけか。そのために、面倒な ことに進んで首を突っ込んでいるのか。それこそ、願ったり叶ったりだ。 もしかすると、今回の事件はオレにそう思わせるために必要な出来事だったのかもな。 「何よあんた、ニヤニヤと締まらない顔しちゃって」 予想以上の結論に至って満足していたのか、その喜びが顔に出ていたらしい。ニヤニヤ とは、そこまでイヤらしい感じじゃないだろ。 「なぁ、ハルヒ」 「な、なによ」 「これからも、一緒にいてやるぞ」 「ふぇ?」 ……なんでそこで赤くなるんだ? どうして急に力を込めて手を握りしめてくるんだ? 「キョン……それってつまり……ええっと、世間一般で言う告白……のつもり?」 「は?」 待て待て。なんでそういう……そういうことになるのか? もしかしてオレ、素で勘違 いされるようなこと言ってたか? ここは一応、フォローしておくべきか……? 「……つまり、SOS団の一員として、なんだが……いだだだっ!」 物の試しで言ってみたが、瞬く間にハルヒの顔が別の意味で赤くなった。つまり、照れ 方向から怒り方向にシフトして顔が赤くなった……ようにオレには見える。 「……いっぺん真面目に死刑にしてあげようかしらね?」 ハルヒさん、リンゴを握りつぶすような握力で手を握らないでください。その鉄球みた いな頭突きを繰り返さないでください。いや、マジで痛いって! 「あんたには言葉の重みってのを教えてあげる必要がありそうねぇ……覚悟しときなさ いよ!」 妙なスイッチが入ったハルヒを、オレが止めることなんて出来るわけがない。そもそも こいつを守る必要が本当にあるのかどうかも悩むところだ。 これから少なくとも10年は、こんなことが続くのか……やれやれ、まいったね。 だがそれでも、オレはもう二度と冒頭に思ったセリフは口にしないつもりだ。 そりゃそうさ。こんなハルヒの面倒を、今後10年は見守っていられるるヤツなんて、 オレ以外の適任者がいるとは思えない。 なぁ、そうだろ? 〆
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1945.html
―――知らない天井だ。 …えっと。まず落ち着こう。ここは何処だろうか。そう思い辺りを見回す。 首を横に向けるとそこには見慣れた桃色のツインテール。 「…小早川さん?」 「あ、気がついたんだね。田村さん」 声を掛けると、予想通りそこにいたのは私の友人、小早川ゆたかであった。 「ってことは…ここ、保健室?」 「うん、そうだよー。田村さん急に倒れるからびっくりしちゃった」 あぁ、そうだ。私は忘れ物を取りに教室に行って…教室に行って…なんで倒れたんだっけ…? そう考えようとして異変に気がつく。…両手が縛られている!? 「ねぇ、田村さん。田村さんは教室で『何で』倒れたのかなぁ?」 「そ、そんな事より小早川さん!この手のスカーフは何なんスか!?」 鮮明に倒れる前のことが思い出され、同時に岩崎さんがこの場にいない事に気がつく。 「田村さん。私の質問、終わってないよ?」 太陽のような満面の笑み。しかしそこから紡ぎ出される言葉は北風よりも冷たい鋭さを持っていた 「い、岩崎さんは一緒じゃないの?」 「みなみちゃんはね、先に帰ってもらったんだけど…なんでみなみちゃんがいないのが不思議なの?」 「そ、それは…」 教室であんな事してたから…そんなことを口に出せるはずもなく、私は顔を赤くして横を向く。 「…田村さん、単刀直入に聞くよ。『何を見た』の?」 「ね、ねえ小早川さん。天原先生は何処に…」 「先生は今いないよ。ここに居るのは私と田村さんだけだよ…質問に答えて」 二人きり。私の額に嫌な汗が浮かぶ。こ、小早川さん…目が逝っちゃってますヨ? 「こ、小早川さんが…」 「私が?」 喉からしぼりだすようにして私が見たものを正直に答える。 「…小早川さんが、岩崎さんを押し倒しているところを…」 「そっか。やっぱり見ちゃったんだね。田村さん」 「それは…その…あの…」 私は口ごもり、また横を向いた。小早川さんの刺すような目線に耐えられなくなったからだ。 「びっくりした?私達が田村さんの妄想の通りの仲で」 ―――! どうしてそれを―――そう言い掛けて、言葉を飲み込む。しかし小早川さんには伝わってしまったらしい。 「どうしてって…だってほら。このノート」 ――私の全身から血の気が引いていくのが実感できた。 小早川さんが手にしていたノート。それは私の忘れ物であり…そして、小早川さんと岩崎さんが絡み合う 濃厚な百合イラスト満載の妄想メモリーである。 「田村さん、すごいね…私とみなみちゃんを見て、いつもこんな事考えてたんだ。」 頬を僅かに上気させながら小早川さんはそのノートをぱらぱらと捲っていく。 やめて。 みないで! そう思っても言葉は出ない。私は唯、ガクガクと肩を震わせページを捲る小早川さんを見詰める事しか出来なかった。 「『お友達』でこんな妄想してるなんて―田村さん、最低だね。」 ―――!!! ―――――最低だね。 言われた。私が最も恐れていた、最も聞きたくなかったその言葉。 既に私の顔は血の気が引いて青白く、肩を震わせて冷や汗をだらだらと流している。 「毎日毎日…私達を見てこんな事考えてたんだ。田村さんてすっごい変態さんだったんだね」 言い返すことなど出来ない。私に出来るのは唯々震えて小早川さんの言葉のナイフに耐えるだけである 「…そんな変態で最低な田村さんには、オシオキが必要だよね――」 そんな小早川さんの台詞とともに私の意識は白くもやが掛かったように遠くなり…… 「――さん!田村さん!」 …声が聞こえる。私の良く知ってる、声。 「…小早川さん?」 「あ、気がついたんだね。田村さん」 目の前に居るのは心配そうに私を見下ろしている小早川さんと岩崎さん。 「こ、ここは!?私はいったい…?」 「きゃあっ」 勢い良く体を起こしたので少しめまいがした。うぅ…頭が痛い…。 ここは――教室、かな?…さっきのは…夢? 「…ゆたか、大丈夫…?」 「あはは…田村さん急に起き上がるからびっくりしちゃった」 顔を覗き込んでいた小早川さんが今のでびっくりしたらしく、しりもちをついていた。 「あ…ごめん。つい勢い良く起き上がっちゃって…」 そういって頭の後ろをかく。…手は、縛られてない。 「ううん、大丈夫。それより田村さん、すごい汗だよ」 「…教室に入ってきたと思ったら、急に倒れちゃったから…とりあえず、これ…使って」 岩崎さんがハンカチを差し出してきた。私はそれを受け取り額の汗を拭う。 「ありがとっス。今度洗って返すっスね」 「…気にしなくていい…」 あ、そうだ。それよりも… 「そういえば私、忘れ物取りに来たんだっけ」 「あ、それってもしかして…このノート?」 一冊のノートを差し出し、小早川さんが微笑む。しかし私はそのノートを見て石化した。 それは紛れもなく私、田村ひよりのの忘れ物であり…そして、日常の小早川さんと岩崎さんを 腐女子コンバーターを通して描かれた濃厚な百合イラスト満載の妄想メモリーである。 あれ? この展開どこかで見たような? これはもしかして正夢というやつでいまからわたしは小早川さんと岩崎さんに『オシオキ』と称してもみくちゃにされて リアルにひぎぃでらめぇであっはーんなR-18と言わざるを得ない展開に―!? 「田村さん、どしたの?」 「えっ!い、いやなんでもないっス!」 そういって手早くノートを受け取り鞄にしまう。 「そっか。じゃあ早く帰ろう」 「…うん」 「そだねー」 …この様子なら、ノートの中身は見られて無いっスね。というか小早川さんそんな人じゃないよ。 友達を疑った自分を少し後悔する。それにしてもあんな夢を見るとは、我ながら腐れすぎだ。 (というか私、マゾっ娘だったんスかねぇ…) 夢の内容を思い出す。いつもなら直ぐに忘れてしまうものだが、今回の夢は鮮明に思い出せる。 (夢の中の小早川さんの小悪魔スマイル、良かったっスねぇ…あんな顔で岩崎さんを攻める小早川さんも…って自重しれ私) 夢を思い出し妄想に走る自分を抑制しつつ、歩く。 「あ、そうだ!」 ふと何かを思い出したように、小早川さん 「今度の日曜日、おじさんもお姉ちゃんも出かけちゃうから、うちに遊びに来ない?」 「いいっスよ~」 「…わかった」 そんな他愛も無い会話をしながら、私達はそれぞれ帰途についた。 …そして日曜日、ゆたかの部屋でひよりは二人から全身をくすぐられる事になるのだが、それはまた別のお話。 【続かない】 コメントフォーム 名前 コメント 続いて!! -- 九重龍太 (2008-06-13 19 54 14)
https://w.atwiki.jp/gods/pages/47640.html
バキビラー(バキ・ビラー) イスラム教神話に登場する神秘家。 ナクシバンディ派をインドにもたらした。 関連: アメッドサルヒンディ (アメッド・サルヒンディ、弟子) 別名: ビラー
https://w.atwiki.jp/rushers/pages/113.html
1層 制御システム スタン無効、沈黙○ 戦闘開始から4分でEnrage 通常攻撃が前方範囲魔法dmg 技名 cast 対象/範囲 ダメージ(目安) 備考 高圧電流 3.0 (ほぼ)全体範囲 魔1200 麻痺。エスナ不可直近だと喰らわない場合あり リペリングカノン (2.5) 円状範囲 魔2000 透過レーザー (2.5) ヘイト下位7名ランタゲ直線 魔2500 ターゲットに届かない場合接近する 【高圧電流⇒リペリングカノン⇒透過レーザー】 の順で攻撃してくる。1ループ約18秒 高圧電流は「詠唱」なので沈黙で止められる。 約18秒おきに使用してくるので2名で交互に止めるとよい。 ILV平均90程度の構成ならば、ボス集中で2体目のaddがPOPする前に倒せる ■TANK ・MTは接近しながらウィズイン連打するとぴったり1発目の高圧電流が止まる =先にファストブレードやハルオーネを撃つとウィズインの発動が遅れて失敗する ・リペリングカノンは円のギリギリで避けてすぐ戻れば避けた後に敵が移動しない 移動してしまうと段々壁際に追いやられて範囲攻撃を回避しにくくなるし、 下手に向きを変えてしまうと前方範囲の通常攻撃でメレーを巻き込んでしまう。 ・OTは2回目の透過レーザーが来たら入口へ移動開始すると丁度よい ・制御システム本体にaddを近づけてはいけないが、あまり入口ぴったりに玉を寄せる必要はなく、むしろ若干離すほうがよい ∵制御システムから離しすぎると、制御システムの透過レーザーがOTを狙った際OTのほうへ移動してしまう ■MELEE
https://w.atwiki.jp/nicorpg/pages/472.html
週刊少年チャンピオンで現在も連載されている、板垣恵介による格闘漫画。 当初は「グラップラー刃牙」のタイトルで連載が開始されたが、話の進行に合わせて 「グラップラー刃牙」→「バキ」→「範馬刃牙(はんまばき)」と2度タイトルが変更されている。 他、外伝作品として「バキ外伝 -疵面(スカーフェイス)-」も存在する。 ニコニコRPGではこの作品の登場人物は一切登場しないが、以下の台詞がネタとして使用されている。 四人同時に相手にできれば、世界中の人間と喧嘩したって負けないッッ! 第1部「グラップラー刃牙」9巻(77話)より。 「素手による喧嘩の場合、どんなに大人数で襲い掛かってこようとも、一人相手に同時に攻撃できるのはせいぜい四人。ゆえに四人を瞬時にあしらう力があれば、例え世界中の人間が襲い掛かってきても負けない」という理論。 主人公・範馬刃牙の父親で「地上最強の生物」と称される範馬勇次郎が刃牙に言った台詞「同時に四方の敵を倒せりゃ作戦なんてかんけいねェ」 「たとえ全世界の50億人とケンカしたって倒されやしねェんだ」が元ネタ。 勇次郎は1000匹にもなろうコウモリの大群をその理論の実践として倒し、刃牙に教えた。 ちなみに刃牙は100人の不良相手にこの理論を実践しようとしたが、37人で力尽きる。 休憩が必要になる、という発想が足りなかったようである。 ニコニコRPGでは、初代魔王がピコ麻呂達との最終決戦で同様の発言をした。 「4人」はツクール2000におけるプレイヤー側のパーティの上限でもあるため、ネタと同時にメタ発言にもなっている。 私は一向に構わんッッ! 『DRAGON BALL』のベジータや『美味しんぼ』の海原雄山と共に、 最強クラスの男ツンデレとされることが多い中国拳法の達人・烈海王(れつ かいおう)の台詞。 第2シリーズとなる「バキ」の14巻(117話)に収録。 「出会ったら状況を問わず即対戦開始!」というバトルロイヤル・ルールのもと、烈はデパートから買い物帰りの途中、 エレベーター内で偶然にも対戦相手と出会ってしまい、その場で戦う事を躊躇する相手に対して発した言葉。 このシーンは、力強さ溢れまくりなこのセリフを烈が連呼するので、シリアス過ぎて逆に笑えてしまう。 ニコニコ的には「覇王翔吼拳を使わざるを得ない」に通じるモノがあるだろうか。 2ちゃんねるのバキ本スレのテンプレにも採用されており、主に煽りが出た際に返すのがお約束になっている。 ニコニコRPGでは荒野エリアでドアラに野球勝負を挑まれた際にスパイダーマが同様の発言をする。 余談だがスパイダーマの本来の一人称は「俺」である。 _,____ノ( / ̄lllllllllllllllllllllllll`ヽ、lll( ノ´llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`ヽ、lllllll) ノ'lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`l丗ヲ /lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`lllllノ ノllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,、ll|llノ ノlllllllllllllllllllllllllllll/´ ̄`ヽllllllllllllllllllllllllllノ `、ll|/ , |llllllllllllllllll_,-'´ ̄ ヽ、 `ヽ、lllllllllllllノ . Y|l ,'´l`、lllllllllllノ _,-‐、 ヽヽ `l.`―‐'フ ,、|llll`ヽ|llllllllll`、llノ´ ‐―、ヽ、 ヽ、 | | / ノ,→lllllllllllllllllllllllll`l -、_ヽヽ、_`l 、 l /ン_/‐ 、lllllllllllllllllllll`l `、`三ン、、ニ、´ノヽノ/フノ/ フlllllllll`l _,-'´ `ヽ//-´ | 私は一向に構わんッッ /llllllllllll|`ヽ、 ,'´´ _ ) l `|llllllllノ、 ヽ、,´ i´ ` `, ノ´ 人 \ i´ヽ、 `,ヽ、_ノ ,´/ / `、 `ン ン ,,-←三、-´ノ、'ノ _,-/ ヽ、 ヽ、 `、 `,ニ,‐--‐ヲ //l''´ `、 ヽ、 `i 、_ヽヽ二二二ノ/ / `、 `ヽ、 `l `、 / ノl `、 `ヽ、ヽ `ヽ、_,/ノノ`、__ ヽ、 `ヽ、――´ノ ノ `‐ヽ、_ そんなふうに考えていた時期が俺にもありました シリーズ第1作「グラップラー刃牙」の12巻で刃牙がボクシングジムに乗り込み、 「ボクシングなんて格闘技じゃない」 「蹴り技も投げ技も無いし、とにかく制約が多くて単なるスポーツ」 「リングの外じゃ何の役にも立たないね」 といった感じでボクサーたちを挑発し、怒って殴りかかってきた彼らを返り討ちでボコボコにするというシーンがあった。 その後、シリーズ第2作「バキ」において伝説のボクサー、モハメド・アリをモデルにしたであろう新キャラが現れ、 バキと共に格闘技大会に出場し、彼が対戦相手を完膚なきまでに叩きのめしている所を横で見ていたバキが、過去の自分の考えを踏まえて呟いた台詞である。 ,j;;;;;j,. ---一、 ` ―--‐、_ l;;;;;; {;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; ボクシングには蹴り技がない・・・ ヾ;;;ハ ノ . !lリ;;r゙ `Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;; そんなふうに考えていた時期が ,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゙ Y;;f 俺にもありました ~''戈ヽ `二´ r'´ . `! 未読者のために補足しておくと 「ボクシングは激しいパンチを打つため体重を移動させるときに大地を蹴る格闘技なんだ」という話である。 ニコニコRPGでは30話のボス「坊主C」が、「陰陽道には格闘術は存在しない」という 自らの過去の思い込みを訂正する際にこの台詞を言い、直後に空中元彌チョップを繰り出してくる。 ちなみに、07年10月に行われたプロボクシング「内藤大助vs亀田大毅」のWBCタイトル戦の後、 追い詰められた亀田が最終第12ラウンドで内藤の体を持ち上げて放り投げたシーンを指して、2chなどでは、 ,j;;;;;j,. ---一、 ` ―--‐、_ l;;;;;; {;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; ボクシングには投げ技がない・・・ ヾ;;;ハ ノ . !lリ;;r゙ `Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;; そんなふうに考えていた時期が ,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゙ Y;;f 俺にもありました ~''戈ヽ `二´ r'´ . `! などと改変されて皮肉られもした。 関連動画
https://w.atwiki.jp/bankett/pages/278.html
《邂逅を果たせた二人の烈火”シグナム”&”アギト”》 騎士/女 ●●●5/1 攻撃力 7/耐久力 7 [[イラストレーター]]:十野弥生 ユニゾン(“アギト”) このキャラクターの[[アタック宣言]]に対してガード宣言したキャラクターのアイテムを全て破壊する。 ●1/1:ターン終了時まで、このキャラクターに+1/+0の修正を与える。 永く……自らの炎を活かせるロードと出会えなかった……。 重ねた想いは何者にも消せぬ強き烈火となり大空を疾駆する。 ・考察etc ここに記入する予定です。
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/441.html
銀の邂逅 月の相克(前編) ◆KKid85tGwY ――この世は腐ってる……。 殺し合いに参加する以前から、夜神月はずっとそう感じて生きて来た。 月の生きる現代社会に蔓延する犯罪や腐敗。 月には社会への不満が常に存在していたのだ。 それだけ月の中には、強い正義感が有り、明確な理想を持っていると言うこと。 しかし現実の月は――“日本一優秀な”と言う形容詞は付くが――只の高校生。 社会を変えるような力は持っていない。 社会の腐敗を知りながら、自分の生活を只淡々と送っていくだけの退屈な日々を過ごしてきた。 その日を迎えるまでは。 その日、月が偶然拾ったのは、名前を書くだけで人を殺すことができるノート。 人間の世界の条理を超えた死神の世界の産物、デスノート。 月はそれに拠って得たのだ。世界を変える力を。 月はデスノートを使い、犯罪者を次々と殺していった。 やがて世界から――月の基準による――悪人を一掃するために。 そして月の理想が実現した新世界を作り上げる。 それを夢見て動き始めた。 月の正義と理想はある意味実現した。 彼はキラとして世界中から畏怖され、そして崇拝され、 例え一時的な物であっても、世界から犯罪が激減させるのに成功する。 そして月の正義と理想は、最終的にある意味の失敗をする。 キラの正体が月であることが露見し、新世界を完全な物に形作る前に、 月は無残な最期を遂げた。 しかしそれは訪れなかった未来。 時空の摂理を超えた殺し合いの招聘に拠って、月は彼が迎える筈だった未来、 “新世界の神”を志していた未来とは、別の道を辿り始めた。 今から語られるのは、そんな在り得た未来とは別の未来の物語。 “新世界の神”を志していた筈の、しかし違う形の正義を抱いた男の物語である。 ◇ 「……貴方って本当に良い度胸してるわ」 現在、月と水銀燈が居るのは、展望台近くの山深い森の中。 月と水銀燈は現在同盟関係にあるので、当然同行する形になっている。 同盟関係と言っても、実際は水銀燈が月の生殺与奪の権を握っている、完全に不平等な物。 即ち今の月は水銀燈に従属させられている状況にある。 「何がだい、水銀燈?」 しかし今の月は水銀燈から呆れの混じった視線を送られながら、 木陰に腰を下ろして、支給されたパンを食べていた。 「良く今の状況で食事ができるってことよぉ」 「今だからこそだよ。君も食事が必要なら、今の内に取っておいた方が良い」 月と水銀燈は、先ほどルパンと田村玲子から書置きを置いて逃げ出してきたばかりである。 そして二人が居る場所は、書置きから100メートルも離れていない木陰だった。 しかも月の提案で、木陰に隠れながらルパンと玲子を無事にやり過ごせたかを見張ると言うのだ。 これではすぐに見付かりかねない。 しかしその心配は要らないと、月は説明していた。 月は書置きで、水銀燈には自分の意思で付いて行っていることを伝えてあった。 ならばルパンの立場としては、月と水銀燈には遭いたくない筈である。 何故なら下手に水銀燈を刺激すれば、月に危険が及びかねないからだ。 そしてルパンと玲子は接触しただけで水銀燈を刺激しかねない。 従ってルパンの方も出来れば水銀燈をやり過ごしたいのだ。 玲子の方は月にとって思考を読みづらい相手だが、それでも無用な戦いは避けたい筈だ。 無闇に水銀燈と接触しようとはしない筈である。 「下手に動き回ると、逆にあの二人と鉢合わせになる可能性が有る。 今のような状況ならあの二人がどちらへ向かうかを確認してから、動いた方が良いのさ。 そしてじっとしている時間で食事を済ませば、一石二鳥だろ?」 月が指し示すあの二人とは、月と水銀燈が見つめる先に居るルパンと玲子の二人。 二人は書置きを見て何かを話していたが、やがて一人ずつに別れて立ち去っていった。 「そんなことを聞いているんじゃない。仲間と別れて私と二人きりなのに、良く食欲が沸くってことよ」 「今は君が僕の仲間だろう?」 「哀れな下僕は仲間とご主人様の区別も付かないのかしら、お馬鹿さん」 「呼び方はどうあれ、お互いにメリットのある関係なことは違いないよ。 君は僕の頭脳を利用できるし、僕は君を戦力にできる」 「……私を戦力扱いにするなんて、本当に良い度胸してるわ」 突如、水銀燈の手に両刃の西洋剣が形成されて握られる。 そして刃の切っ先を月に向けて来た。 水銀燈の刃と殺気を向けられても、月は表情を変えずに返答する。 「それ位の割り切りが出来た方が、君にとっても頼りになると思ってね。失礼な言い方だったら謝るよ」 しばしの間、月を睨んでいた水銀燈だが、 やがて剣を仕舞い、つまらなそうにそっぽを向いた。 月はそんな水銀燈の様子に頓着することも無く、食事を済ませて立ち上がる。 「それじゃあ、展望台に戻ろうか」 「展望台ね……確かにそこが、一番あの二人と鉢合わせない場所よねぇ」 「分かってくれているなら何よりだ」 異論が出ないと分かると、月は水銀燈に先がけて展望台に向かい始める。 端的に言って、月の態度は水銀燈にとって気に入らない物だった。 本来二人の関係は、生殺与奪の権を持つ水銀燈が有利な筈である。 しかし実際の二人の動向は、月が主導している。 (やり難い奴ね……只の人間の癖に) 月の提案は全て合理的な物で、水銀燈がどれだけ異論を挟んでも適切な応答をするため、 自然と月の提案通りに、事が運んでいく形になってしまう。 先ほどなど剣を向けて挑発したにも関わらず、あっさりと流されてしまった。 今に到っては完全に水銀燈を先導する形になっていた。 月の背中を睨みながら、水銀燈も展望台に向かい始める。 水銀燈と月は山頂に存在する展望台、と名付けられた総合宿泊施設に着く。 展望台としての機能の他に浴場や食堂など、多種多様な施設が凝縮したその建物は、 全高にして15メートルほどにまで達する、巨大な円柱型の建造物だった。 外の監視に特化して、中には食料なども蓄えてあるその施設は、篭城するには打って付けと言えよう。 しかし水銀燈は積極的に殺し合いに乗っていく方針なのだ。 情報収集が有益であることは間違いないが、ここに長居をする訳にはいかない。 その後の展開を考えて早急に情報収集を終えたかった。 しかし展望台の入り口に入った月は、何かを物色している様子だった。 「……何をこそこそしてるのかしら?」 「君が言っていた“不細工なイタズラ”の材料を回収しているんだよ」 月は入り口付近に張ってある、視認出来ないほど細い糸を巻き取っていた。 水銀燈は自分が“不細工なイタズラ”と呼んだ、手作りの警報装置を思い出す。 「警報を解いちゃって良いの?」 「……もう粗方は、ルパンさんに回収されていたからね」 月の説明に拠ると、どうやらルパンが出発の際に警報装置を解いて、材料の糸などは回収していたらしい。 只、ルパンの遊び心ゆえか、警報装置は不必要に思えるほど大仕掛けで複雑な物となっていた。 従って急いで出発したルパンは、警報装置の材料の全てを完全に回収していた訳では無かったようである。 「それに警報を置かない訳じゃないよ」 月は回収した糸から一部を一階から二階に上がる階段の前に、ちょうど足首ほど高さで張り、 糸を非常用ベルの前に立て掛けたガイドポールに繋いでいた。 水銀燈には詳細は把握できないが、どうやら糸に引っ掛かるとガイドポールが倒れて非常用ベルを押す仕掛けらしい。 水銀燈が感心したのは階段の前に警報装置を置いたこと。 あれなら一階の何処から侵入しても、二階へ上がる際に警報に掛かる形になる。 月が作業を終えると、水銀燈はそちらへ目もくれずに四階の展望台へ先導する。 月も特に異論を挟むことも無く、水銀燈に付いて行った。 展望台に着いた月は淀みなく望遠鏡で周囲の観察を始める。 そして望遠鏡を覗いたまま水銀燈に話し掛ける。 「僕は南を観るから、水銀燈は東を頼む」 やはりここでも指示を出すのは月の方。 月に無闇に反発しても無意味であることは、既に学習している。 水銀燈は黙って東へ向けて望遠鏡を覗いた。 月と出会って間もないが、自身も聡明である水銀燈は、その優秀さを嫌と言うほど思い知らされている。 卓抜した頭脳を持ち、その判断を即座に実行できる実務能力と行動力を有している。 下僕としてはこれほど頼もしい存在もそうは居ないだろう。 下僕で在ればの話のだが。 「…………退屈。よくこんな面倒なことをずっと続けられるわねぇ」 展望台から望遠鏡で遠距離まで観れると言っても、望遠鏡で観れるのは極僅かな範囲。 地図上に点在する施設などをピンポイントに狙っても、中々参加者を捉えることは出来ない。 実にならない観察を続けるのは水銀燈にとって、性に合わない物だった。 そろそろ切り上げて、移動しようと考えた時に、 月の異変に気づいた。 「…………そんな、ルパンさん……」 そう呟いて望遠鏡から目を離す月。 漠然とでも事情を察した水銀燈は、月が観ていた方向へ自分の望遠鏡を向ける。 そこで水面に浮かぶルパン三世の死体を見つけることが出来た。 月は沈んだ様子で項垂れている。 「どうしたの? 大事なルパンを助けに行った方が良いんじゃない?」 水銀燈にはルパンの死に大した興味は無い。参加者の一人が減った以上の意味は無いからだ。 月に話し掛けたのは、単にからかいたかったからだ。 案の定、月は概ね水銀燈が予想したような返答をする。 「…………ルパンさんの傷は致命傷だ……今から行ってもどうにもならない……」 「うふふっ。随分冷たいのねぇ、ずっと一緒に居た仲間なのに。 それとも、ずっと一緒に居たのに結局は邪魔になった人のことだから、本当は死んで欲しかったとか?」 「……………………すまない、ちょっとトイレに行って来るよ」 月は顔を伏せたまま立ち上がり、ゆっくりと展望台から下る階段へ向かって行く。 「早く帰って来なさい。私はいつまでもトイレに引き篭もってるような役立たずは嫌いなの。殺したくなるくらい」 水銀燈も一応釘だけは刺しておいて、月を見送る。 観察を切り上げた水銀燈は、望遠鏡の上に腰掛けて、 今しがた展望台から去っていった下僕について考える。 今は消沈しているが、月は凄まじく回転の速い人間だ。 すぐに気を取り直してくるだろう。 月の優秀さついては、もう疑う余地は無い。 そしてそれ故に、月は下僕としては不適格とも言えるのだ。 水銀燈にとっては、月は好きに利用できる下僕だった筈だ。 しかし月ほど知略に長けた人間では、いかに水銀燈と言えど制御し切ることは出来まい。 実際に先ほどから月に主導権を握られている。 何より問題なのは、水銀燈と月では行動方針が決定的に違うと言うことだ。 水銀燈の目的は殺し合いに優勝することだが、月の目的は殺し合いを阻止することにある。 月は水銀燈が人を殺そうとすれば止めると明言している。 あるいは、そのような場面にまで到らないかもしれない。 水銀燈も気付かない内に、殺し合いを有利に進められないように誘導させられる可能性も有る。 月の知略ならばそれ位のことでさえ可能なように思える。 いずれにしても根本的に行動方針がぶつかる者は、最終的には邪魔にしかならないのだ。 月は有能だが使い道は精々が情報収集程度。 いや、それすら水銀燈が殺し合いを進めないよう情報を操作する公算すら有り得る。 ある意味下僕として、これほど信用に置けない相手も居まい。 そこまで行き着いて、水銀燈の思考はもっと根本的な部分に突き当たる。 そもそも、そうまでして下僕が必要だったのだろうか? 情報収集などの面では役に立つかも知れないが、それが殺し合いに役に立たなければ意味が無い。 さりとて戦力になるような相手では、水銀燈が主導権を握るのは難しい。 誰かと組むのが悪いと言う訳では無い。 しかし下僕に逆に引っ張られているような今の状態は、水銀燈としては余りにも温いと言わざるを得なかった。 有能かつしっかりと手綱を握れる者と組むか、 あるいは一人でも、もっと積極的に殺し合いを進めていくか、 いずれしても、今のような中途半端な真似を繰り返していては埒が明かないのは確かだった。 「切り捨てることも考えて置いた方が良いかも知れないわねぇ……」 しかし、流石に今すぐ月を切ると言うのは早計過ぎる。 nのフィールド侵入方法の解明を依頼した件も有る。 月を始末するにしても、明確に邪魔になると判断してからだろう。 思考を終えて手持ち無沙汰になった水銀燈は、もう真面目に観察を続けるつもりは無かったが、 戯れに再び望遠鏡を覗く。 そこに“それ”は居た。 超常の人形である水銀燈の、想像を絶する存在が。 ◇ 三階にある男子トイレの個室。 月はそこに鍵を掛けて篭っていた。 そこに用が有った訳ではない。 ただ、外界からの情報を遮断して一人になりたかっただけだ。 ルパンが死んだ。 月とは出会って一日も経っていない間柄だった。 しかし未だかつて味わったことの無い喪失感が、月の中に渦巻いている。 ルパンはかつて月が出会ったことも無いような人物だった。 月に比肩し得るかも知れない聡明な頭脳。 軽妙洒脱でありながら、嫌味の無い人柄。 清濁併せ持つ深い器量。 その何れか、あるいはその全てか、 亡くなった今だからこそ、ルパンの姿を鮮烈に思い起こされた。 日本一優秀な頭脳を持ちながら、それほどルパンに惹かれていたと今更気付かされる。 これでは笑い話だと、どこか自嘲的に月は思った。 月は哀しいと言うより、ルパンを失った大きさに呆然としていた。 そう、自らルパンを失ったのだ。 成り行きとは言え、月は自らの意思でルパンと袂を分かっている。 過去の仮定の話など意味が無い。 頭ではそう分かっていても、考えずにはいられなかった。 もし、ルパンと別れなければ、彼は死なずに済んだのではないか? そこまで行き着いて、月の思考はもっと根本的な部分に突き当たる。 そもそも、ルパンと別れたことは余りにも短慮な決断ではなかっただろうか? 確かに、あの時の月にはそうすべき理由があった。 自分の中にキラの可能性を抱えながら、あれ以上ルパンと向き合うことは耐えられなかっただろう。 それでも、無理を押してでもルパンから離れるべきではなかったのではないか? それは月らしからぬ、確固とした根拠も無い漠然とした思い。 しかし月の中には哀しみを超えるほどの喪失感として、確実に存在した。 何か致命的な判断の誤りをしたのではないかと言う懸念と共に。 だが、何故かそれ以上はどうしても上手く思考を進めることが出来なかった。 (…………いい加減、戻らないとな。これ以上は下手に水銀燈を刺激するのは拙い) 月は思考を切り上げて、トイレの個室から出る。 漠然とした思考に浸っていられるほど、月の現在の状況は安穏としていない。 水銀燈と組んで以来、月はあえて積極的に主導権を握るよう努めて来た。 それは水銀燈がどこまで月のコントロールが効く相手かを計るためでもある。 余裕を持って先導してきたように見えても、実際には月にとってかなり危険な綱渡りだった。 何しろ水銀燈は殺し合いに乗っている。一つ判断を間違えれば、月は殺されてもおかしくない。 しかしそれだからこそ必要な実験であった。 水銀燈は月のどんな言動にいかなる反応を示し、そしてどうすれば上手く制御が出来るのかを。 殺し合いを進めさせないために。 しかし水銀燈とて馬鹿ではない。既に月の目論見にも、ある程度まで感付いているだろう。 ここからは更に難しい駆け引きになる。 だからいつまでもルパンに関する思考に拘泥していてはいけないのだ。 月は水道の水で手を洗う。 そのついでに、乱雑に顔に水を掛けて、乱暴な手つきで顔を洗った。 そうすることでルパンを失った喪失感を洗い流せるかのように自分に言い聞かせて。 (……大丈夫だ。ルパンさんが居なくても僕には出来る! 殺し合いを止めて、その枠から脱出する。僕にはそれが可能な筈だ!) ルパンの死にも月は決して折れることは無い。 何故なら月には己の頭脳に、能力に、才覚に自信が有った。 この不測に埋め尽くされた殺し合いでは絶対とは言い切れない、 それでも、如何なる困難の渦中からでも、必ず解決策を見出せると言う明確な自信が。 「……水銀燈、どうしたんだ?」 「付いて来なさい」 月がトイレのドアから出た直後だった。 どこか切迫した様子を秘めた水銀燈が、階段から降りてくるのに出くわしたのは。 只ならぬ雰囲気を感じ取った月は事情を聞くが、 水銀燈は極めて簡潔に、しかし有無を言わさぬ調子で命令を返す。 そうなれば月に有無を言う余地は無い。 やはり厳として力の差は存在するのだ。 展望台から北西の方角に位置する森の中。 月と水銀燈の二人は、先ほどルパンと玲子を監視していたように、藪の中に身を潜める。 月にとっては、まず水銀燈が率先してこの状態を取っているのが意外だった。 水銀燈はルパンと玲子を監視する際、 ローゼンメイデンである彼女のプライドの問題か、それとも単純に身体を汚すのを嫌ったのか、 森に身を隠すことを嫌がっていた。 その時は最終的には月に説得されたが、今は自分から藪に身を潜めている。 それだけで異常な事態であると、容易に察せられた。 やがて断続的な得体の知れない音が、遠くから聞こえる。 カシャ カシャ カシャ カシャ 月は根拠の無い予感や直感の類は信じない人間だった。 しかし、その音が近づいてくるにつれて、 何か嫌な予感に支配されて行く。 水銀燈も恐らく同じような予感が有るらしく、今も緊張を隠しきれない様子だ。 音の主が姿を現し、断続的な音の正体が足音だと判明する。 シルエットは人間のそれ。 しかし“それ”は月にとって初めての体験だった。 全身を覆う白銀の装甲。 エメラルドのごとく輝く大きな双眸。 何より足音の主が持つ、圧倒的な存在感。威圧感。 どんな根拠も必要無い。只そこに存在しているだけで、生物としての原初的な本能に訴えてくるような異常な気配を有していた。 一目見ただけで危険と本能が察知する存在。 それは月にとって初めての“体験”だった。 「……あれが何か知ってる?」 「さあ……僕にはあれが、恐らく人間では無いと言うことしか判らないよ」 「じゃあ……私があれを殺すと言ったら、やっぱり邪魔をするのかしら?」 藪に深く身を潜めながら、展望台に向かって歩き続ける“それ”から二人は目を離せない。 異様な緊張感。 水銀燈の口調にも、何時もの人を小馬鹿にするような余裕は無い。 「それは君が殺し合いに乗っているからかい?」 「質問しているのはこっちよ」 「……あれに手を出すのは危険過ぎる。君にもそれは判っているだろう?」 「私が何を判っているって言うの?」 「そうでなければ、君がこそこそ隠れて様子を伺うような真似をする筈が無い」 「…………」 水銀燈は月の言葉に返事を返さず、只食い入るように“それ”を睨み続ける。 月がした体験を、展望台の望遠鏡越しに水銀燈も経験していた。 しかし闇雲に逃げ出すと言う選択肢を選ぶのは、彼女自身の矜持が許さない。 だからこそ展望台に向かって来る“それ”を見付けた時、接近してその危険性を確認することにしたのだ。 水銀燈のアリスゲームにおける長い戦闘経験で培われた勘が、接近して確認した“それ”が極めて危険だと告げる。 あの狭間偉出夫も強力な相手だったが、 目前の存在も強力かつ、それ以上に“危険”だと水銀燈の勘が告げていた。 今の水銀燈の戦力では恐らく勝算は薄い。 月の進言に従うようで逃げるのは癪だが、やはりこの場は退くべきだと水銀燈は判断する。 幸い今は“それ”から見えない位置に姿を隠している。撤退するのは容易な筈だ。 「私はゴルゴムの次期創世王・シャドームーン」 沈着だが冷徹な威厳に満ちた声が響く。 月も水銀燈も最初は“それ”=シャドームーンが発した声だとは気が付かなかった。 いつの間にか足を止めていたシャドームーンは顔を傾けて、 エメラルドのごとき双眸を、月と水銀燈が潜む藪に向けていた。 「隠れて様子を伺う程度の者では期待は出来ぬが……ゴルゴムの次期創世王の礎となれることを、精々光栄に思え」 シャドームーンはゴルゴムに世紀王として改造された存在である。 同じ立場としてブラックサンが存在するが、 ブラックサンは改造手術のほとんどを終えていても、それでも未完成の状態であった。 そしてシャドームーンは、その後もしばらくの改造期間を経て完成した世紀王なのである。 そのためか、実はブラックサンよりも細かい改良点が幾つか見受けられる。 一つがマイティアイ。 これは広視界・望遠・暗視などの能力を有する、ブラックサンのマルチアイに、 更に透視能力が加えられた物だ。 広視界と透視、この二つの能力を兼ね備えているマイティアイならば、 深い森の中に身を隠す者でも容易に見つけることが出来た。 自分たちの存在に気付かれている。 それに気付いた月と水銀燈は、弾けるように逃げ出した。 そこに何の策略を込める余裕も無く、月は森の中を駆け抜ける。 何の舗装もされていない山道に何度も転びそうになりながら、 シャドームーンに捉まれば死ぬと言う、一念で必死に駆け抜ける。 しかし慣れない山道を走り続けると言うのは、流石の月にも無理があった。 不意に地面から浮き出た木の根に躓いて、月の身体が地面に投げ出された。 次の瞬間、月の身体が宙に浮く。 自分が水銀燈の背中から伸びた黒い龍の顎に咥えられた。 そう認識した、更に次の瞬間。 天から飛来したシャドームーンが、月が転んだ地点に拳を打ち込んだ。 大地の上で、爆発を起こしたがごとくエネルギーが炸裂する。 地面にクレーターが作られた。 月は、シャドームーンの拳の威力、 そして一瞬でも水銀燈に助けられるのが遅れれば、自分は原形も留めない躯と化していた事実に驚愕する。 水銀燈は龍と化した翼で月を抱えながら、シャドームーンから飛行能力で逃げる。 軽口を叩く余裕も無いらしい。無理も無い。 しかしこの山道での逃亡には、飛行能力は極めて有用と言えた。 足場の悪さに捉われること無く、高速で移動できる。 背後から豪と音が鳴った。 振り向くと白銀の巨弾が飛来して来る。 (シャドームーンも飛行できる!?) 水銀燈以上の速度で宙を飛ぶシャドームーン。 その姿を見て月は、シャドームーンが飛行していると認識する。 しかしそれは誤りだ。シャドームーンが行っているのは飛行ではなく跳躍。 大地を蹴って、地面とは水平方向に跳躍しているに過ぎない。 問題はシャドームーンが地面と垂直方向へ40メートルもの跳躍を可能とする脚力、瞬発力を有すること。 その瞬発力は飛行と紛う距離を、一足飛びで縮めることが出来、 更に、飛行する水銀燈へ容易く追いつくほどの速度を発揮した。 「……!!」 水銀燈が身体を捻る。 しかし回避には間に合わず、シャドームーンが繰り出す拳が水銀燈に直撃。 水銀燈の身体が、まるでフィギュアスケートのごとく錐揉み回転。 同時に弾丸のごとく地面に叩きつけられる。 水銀燈は何度も地面の上を跳ね、転がって伏せた。 龍の顎から放された月も地面を転がる。 それでも攻撃を直接受けた訳では無いせいもあって、予想外にダメージは少ない。 身体を起こして水銀燈を見ると、彼女も大きなダメージは受けていないらしい。 水銀燈はシャドームーンのパンチの打点を、図ってか図らずか体軸からずらしていた。 人形である水銀燈の体重は軽い。 それによって強力な打撃を受けても、威力を身体の回転や飛行の運動エネルギーに変換させて逃がしていたのだ。 何よりローゼンメイデンは、一般的な人形より遥かに頑丈なのだ。 「フッ、只のガラクタ人形では無いらしいな」 「……ジャンクになるのは、そっちよ!!!」 シャドームーンの言葉に水銀燈は怒りを露にする。 水銀燈の数え切れない黒羽が刃のごとく鋭く切っ先をシャドームーンに向け、弾丸のごとく発射された。 人間が一つでもそれを受ければ命を落とすであろう威力の黒羽。 黒羽の弾幕が、シャドームーンの真っ向から雨霰のように叩きつけられる。 シャドームーンは何事も無きかのごとく、その中を平然と歩いていった。 全身を覆う白銀の装甲・シルバーガードには掠り傷一つ付かない。 水銀燈は黒羽を撃ち出すのを止め、背中からの翼として伸ばした。 伸ばした双翼の先端は龍と化し、大きく顎を開けてシャドームーンへ向けて牙を剥く。 双龍がシャドームーンを左右から挟み込むように襲い掛かる。 しかし双龍の牙はシャドームーンの両手に掴み取られる。 人を容易く丸呑みに出来る龍が、シャドームーンの手の力に捉まれて微動だに出来ない。 シャドームーンの腰部分、シャドーチャージャーから緑色の光が漏れた。 内蔵された出力機関、キングストーンのエネルギーがチャージされている証。 エネルギーはシャドーチャージャーから両手へ送り込まれる。 そして両手から放電のごとく拡散しながら放出。 一瞬で双龍を焼き尽くし霧散させた。 (なんて出力なんだ……!!) 双龍を破壊した一撃に月は戦慄する。 人間と同じ体格であるにも拘らず、異常なエネルギーを事も無げに放出するシャドームーン。 月の持つ科学常識から完全に逸脱した存在。 あれだけの力の持ち主との戦いでは、余波に巻き込まれただけでも、 肉体的には普通の人間である月は死にかねない。 これでは水銀燈の殺害を止めるどころではない。 シャドームーンが水銀燈と対峙している隙に、月は再び逃走を開始する。 しかし如何に月が卓越した頭脳の持ち主でも知りようが無い。 シャドームーンがブラックサン以上の五感の持ち主であるということなど。 現在の月とシャドームーンの距離は15メートルほどしか離れていない。 その程度の距離ならば、月がどれほどシャドームーンの隙を見て、気配を隠して逃げようとしても、 容易にその動向を察知できる。 走り去ろうとする月に、シャドームーンは指先を向ける。 指先にシャドーチャージャーからのエネルギーが送られる。 直線発射されるゆえに、先ほどの放電状の物より威力が凝縮されたシャドービーム。 それが発射された。 「私を前に余所見なんて、随分余裕じゃない。お馬鹿さぁん!」 月へシャドービームを発射すると同時に、水銀燈がシャドームーンへ向けて飛び掛ってくる。 大上段に振りかぶった手には、いつの間にか剣が握られていた。 客観的に観れば、それは水銀燈が月を攻撃するシャドームーンの隙を突いた形になるだろう。 しかしシャドームーンのマイティアイは水銀燈への注意を一時たりとも逸らしてはいなかった。 シャドームーンは、自身の右手に握った世紀王の剣・サタンサーベルを振るう。 サタンサーベルは隙だらけの水銀燈の腹を真一文字に切り裂いた。 シャドームーンに腹を切り裂かれた水銀燈は、笑みを浮かべた。 水銀燈にとって、自分の腹部の空虚はコンプレックス以外の何物でも無い。 その腹部の空白を、戦術上の要請とはいえ利用するのはかなりの抵抗がある。 逆に言えばそれを行うほど水銀燈は、シャドームーンを脅威と感じて追い詰められていた。 だからこそ自分の誘いにシャドームーンが乗った瞬間、笑みが零れた。 腹部の空白への攻撃によって隙が出来たシャドームーンの頭部へ、今度は水銀燈の剣が振り下ろされた。 狙いはエメラルドのごとく輝く、シャドームーンの双眸。 明らかに白銀の装甲とは異なる材質の、人間で言えば眼に当たると推測される部分。 恐らくは白銀の装甲部分より強度に劣るであろう。 水銀燈の推測は当たっていた。 シャドームーンの翠の双眸こそ、眼に当たる器官であるマイティアイその物。 それは全身を覆う白銀の装甲・シルバーガードより強度で劣っていた。 剣を受けた翠の双眸は、甲高い破壊音を上げる。 散乱する金属片は日光を反射して不規則な輝きを放つ。 水銀燈は眼を大きく開き、傷一つ無いマイティアイと砕け散った自分の剣を交互に見やった。 マイティアイは確かに、シルバーガードと比較すれば強度で劣る。 しかしシャドームーンの耐久力は、既存の生物のそれとは根本的に隔絶している。 シャドームーンはこれまでも、そしてこれから迎える筈だった――しかしもう永遠に迎えることの無い――未来において、 あのブラックサン=仮面ライダーブラックと、幾度も戦っている。 数多のゴルゴムの怪人と戦い勝ち抜いてきた仮面ライダーブラックの強さは疑うべくも無い。 更に未来での戦いにおいては太陽の力を借りて、仮面ライダーブラックRXへと進化を遂げていた。 その激闘の中でもシャドームーンは、例えばバトルホッパーの自爆などの例外的な事態を除いて、 実はほとんど大きな負傷を受けていないのだ。 シルバーガードに守られていないマイティアイや関節部分であろうとだ。 シャドームーンの耐久力は、それほどまでに総体として高いのである。 水銀燈の剣戟と言えど、仮面ライダーブラックの攻撃には威力は及ばない。 全力の斬撃は自身を破壊する結果となった。 斬撃が失敗して、今度は水銀燈に再び生じる隙。 それを見逃すほどシャドームーンは甘くは無い。 シャドームーンは左肘から伸びるエルボートリガーを、水銀燈の頭部へ向けて振るう。 しかしエルボートリガーの刃先が空中で止まる。 エルボートリガーの刃先の空間上で、紫色の純粋光による波紋が浮かんでいる。 水銀燈が空中に発生させた不可視の防御壁。 ローゼンメイデンの攻撃をすら防ぎきる障壁が、エルボートリガーの軌道を遮ったのだ。 一瞬だけは。 エルボートリガーは武器であると同時に、超振動の発生装置でもある。 その超振動は接触しただけで、巨大な岩石を瞬時にして粉微塵に粉砕できる威力。 発生した絶大なエネルギーは、水銀燈の防御壁をも瞬時に破壊した。 阻む物が無くなりエルボートリガーはそのまま水銀燈の頭部へ向かう。 しかし水銀燈はスゥエーを使い、皮一枚ほどでかろうじてそれを避けた。 水銀燈が張った防御壁は、エルボートリガーを防ぐためではなく回避するための物。 防御壁によって僅かに生まれたタイムラグが無ければ、回避は不可能だっただろう。 しかしシャドームーンの攻撃はまだ終わっては居ない。 シャドームーンは左肘を伸ばし、返しの裏拳を水銀燈に向けて放つ。 凄まじい衝撃で意識がホワイトアウトしながら、水銀燈の身体は吹き飛んだ。 全身に土埃を被ったらしい身体が痛む。 すぐに起き上がることは出来ないが、どうやら五体は無事であるらしい。 大地にうつ伏せで倒れている月は、 混濁した意識からじょじょに覚醒していく頭で、自分の身に何が起きたかを思い出していた。 月を狙って放たれたシャドービームは、放つ瞬間にシャドームーンが水銀燈の急襲を受けたため、僅かに狙いがずれていた。 シャドービームは月の手前の巨木に着弾。月は悪運により直撃を避けることが出来た。 しかしシャドービームの有する莫大なエネルギーは、爆発を起こす。 その余波は、それだけで月の身体は地面へ強烈に叩き付けられた。 意識がそこで途切れていた。 あれからどれほどの時間が経っているかは判断出来ないが、 自分がまだシャドームーンに殺されていないことから、意識を失ってからほとんど間が無いと推測出来る。 問題は水銀燈とシャドームーンがその後どうなったかだ。 月はようやく痛みの抜けた身体を起こしながら、周囲を観察する。 その眼に飛び込んできたのは身体ごと飛来する水銀燈だった。 水銀燈は月の目前で転がり落ちた。 シャドームーンの姿は見えないが、状況は大よそ推測出来る。 どうやら切迫した状況はいまだに続いているようだ。 しかし月には最早打つ手は無い。 逃走してもビームで狙い撃ちされてはどうしようもないのだ。 月には一つだけ策が有るには有ったが、水銀燈が時間稼ぎも出来ない状況では、 成功以前にそれを実行することも叶わないだろう。 「……………………手を出しなさい」 気が付けば水銀燈が身を起こして、月に命令してきていた。 展望台の時より、更に切羽詰って有無を言わせぬ口調。 水銀燈もまた起死回生の手段に出ようとしているのだろう。 そして恐らくそれは、月に犠牲を強いる物だ。 しかし最早手段を選んでいられる状況ではない。 月もまた起死回生の賭けに出る覚悟を決める。 月が水銀燈へ向けて手を伸ばす。 水銀燈がその指の口づける。 眩い光が水銀燈を包み込んだ。 ◇ 時系列順で読む Back 夢見るように目覚めて Next 銀の邂逅 月の相克(中編) 投下順で読む Back 夢見るように目覚めて Next 銀の邂逅 月の相克(中編) 130 運命の分かれ道 夜神月 144 銀の邂逅 月の相克(中編) 水銀燈 128 Blood teller シャドームーン
https://w.atwiki.jp/new2souennokanntai/pages/1160.html
トップページ イベント攻略 ※お知らせに記載された時刻より早くイベントが終了していた不具合があり、2024.05.22 1700 - 05.27 1659 の期間に再開催。(受取済み報酬の再取得は不可) 報酬 勝利回数 1 戦艦Inferno 戦艦錬成鋼-真 x20 空母Inferno 空母錬成鋼-真 x20 重巡Inferno 重巡錬成鋼-真 x20 軽巡Inferno 軽巡錬成鋼-真 x20 駆逐Inferno 駆逐錬成鋼-真 x20 潜水Inferno 潜水錬成鋼-真 x20 オールスターInferno 錬成鋼-真選択券 x20 戦艦Infernoの編成 敵戦力:2281998 陣形:複縦陣 重油消費:30 時間・天候:昼・晴 敵構成 : 戦艦、戦艦、戦艦、戦艦、戦艦、戦艦 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵戦艦戦技 : 煌々たる要塞-八咫鏡 x3、システム・カタストロフ、攻戦ノ巧手、百万馬力の底力、超弩級ノ絆戦隊、流転する無限の城、キャッスル・プライド、断雷絶壁の城、ファントムアウト、インフィニティ・ネット x2、三銃の轟弾、剛き進航、鋼遁の守り手、不断の墜砲、栄光の制圧射撃、霧神の加護、ブリリアント・スナイプ、眩惑の迎撃、修羅武装、逆襲の装甲網、アクア・ブレッシング、クイーン・ランパート 技能 : 火力上昇5、戦技発動上昇5 空母Infernoの編成 敵戦力:1954998 陣形:単横陣 重油消費:30 時間・天候:昼・晴 敵構成 : 空母、空母、空母、空母、空母、空母 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵空母戦技 : 不死鳥の守護、緋色の翼 x2、飛花征天、奏翼の絆艦隊 x2、孤空の踊り子、蒼き龍の縄張り、エンデュランス・バリア x2、神鳥たちの不可侵領域 x3、響天仙遊 x2、瑞兆の紫雲、戦術爆撃準備、凪し銀浪の刃、先手必勝の航空術、隙を逃さぬ心眼、天壌無窮の黒炎、天遷紅蓮、冥界への猛反、戦曲の休符 技能 : 爆撃機 300機 x6、火力上昇5、戦技発動上昇5 重巡Infernoの編成 敵戦力:2217366 陣形:単縦陣 重油消費:30 時間・天候:昼・晴 敵構成 : 重巡、重巡、重巡、重巡、重巡、重巡 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵重巡戦技 : 海戦の研ぎ師、超絶ナル砲撃術、順風の契り、百万馬力の底力、艦隊のプレリュード x2、旗鼓堂々の戦陣、戦磨の交響、耐久の極意 x2、風魔乱舞 x4、裁舟の閃光、連砲強化作戦 x2、白星の祝詞、越星霜の城郭、神海の聖域、悠久の戦場へ、神撃砲-穿陣ノ彗剣 x2、鎮静の残響 技能 : 火力上昇5、戦技発動上昇5 軽巡Infernoの編成 敵戦力:2285165 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:夜・雪 敵構成 : 軽巡、軽巡、軽巡、軽巡、軽巡、軽巡 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵軽巡戦技 : 一号機雷敷設作戦、威光放つ二号機雷、幻惑の三号機雷、四号機雷は悪夢の調べ、五号式-機雷増強作戦、砕氷の刹界、ディクライン・ショット、常闇の襲撃者、先導者の覚悟、絶壁の狂風 x2、月陰の残映 x2、貫鎧の荒竜、牽制抑圧閃光-改、千の波の加護 x4、サプレッション・フレア、荒波の支配者、夜嵐に駆る雷槍、稲光の照準、雷霆神通力、荻の閃雷 技能 : 雷撃上昇5、戦技発動上昇5 駆逐Infernoの編成 敵戦力:2106006 陣形:陣 重油消費:30 時間・天候:・ 敵構成 : 駆逐、駆逐、駆逐、駆逐、駆逐、駆逐 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵駆逐戦技 : 闇夜に紛れる風、速攻水雷作戦、雷撃特化作戦、刻駆の刹風、絶壁の狂風 x2、鳴り止まぬ天鼓、千の波の加護 x2、月陰の残映、凍てつく暴風群、連続雷撃作戦、果てなき風道、恩寵と武威の寂光、夜闇の潜伏者、荻の旋風、沈まぬ月光、萩の尖雷 x4~、閃雷の迎撃、天霧らふ返し刀、斬流の風刃 技能 : 雷撃上昇5、戦技発動上昇5 潜水Infernoの編成 敵戦力:2372166 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:夜・雪 敵構成 : 潜水、潜水、潜水、潜水、潜水、潜水 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵潜水戦技 : 不言実行の雷撃 x2、潜水の極意、暗影に潜む機雷、泡沫に揺らぐ戦影 x3、海神の福音、冥海から導く灯、絶壁の狂風、復讐の雷鳴 技能 : 雷撃上昇5、戦技発動上昇5 オールスターInfernoの編成 敵戦力:2201250 陣形:複縦陣 重油消費:30 時間・天候:夕・晴 敵構成 : 戦艦、空母、重巡、軽巡、駆逐、潜水 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵戦艦戦技 : システム・カタストロフ、インフィニティ・ネット、ファントムアウト、アクア・ブレッシング 技能 : 敵空母戦技 : 不死鳥の守護、緋燕天遊、蒼き龍の縄張り、冥界への猛反 技能 : 爆撃機 300機 敵重巡戦技 : 蒼焔の絆、蒼焔の絆-改、艦隊のプレリュード、蒼き海の戦歌、越星霜の城郭 技能 : 敵軽巡戦技 : 砕氷の刹界、先導者の覚悟、牽制抑圧閃光-改、貫鎧の荒竜、旗裂の竜爪 技能 : 敵駆逐戦技 : 斬流の風刃、萩の尖雷、閃雷の迎撃、天霧らふ返し刀 技能 : 敵潜水戦技 : 暗影に潜む機雷、昏き海底の番人、泡沫に揺らぐ戦影、無給の雷鳴、暗流舞踏 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、対潜上昇5、戦技発動上昇5 ↓コメント等 名前 閲覧数 今日: - 昨日: - 合計: -